2013年10月24日木曜日

食材偽装と食品公害事件



ホテル阪急インターナショナルといえば大阪を代表する高級ホテルです。ところがこのホテルだけでなくグループ傘下のレストランで供されていた料理に多種多様の偽装食材が使われていたことが判明しました。

解凍魚を鮮魚として供するのはまだ序の口、トビウオの卵をレッドキャビア(マスの卵)と偽る、ふつうの白ネギ、青ネギを京都名産の九条ネギと詐称、既製品のハンバーグは手捏ねハンバーグに変身。商道徳云々以前にこの企業の品のなさ、危機管理能力のなさにあきれます。

高級ホテルのレストランは家族や友人と気軽に食事をする場所というより結婚式の披露宴とか大切なお客の接待等に使われることが多いものです。今頃接待した人達は恥ずかしさのあまり顔を赤くして(いや青ざめて)いるのではないでしょうか。

冷静に考えればトビウオの卵(とびこ)とマスの卵は大きさが違うので偽装に気づくかもしれませんが、今までクレームが出なかったのはそこが一流ホテルのレストランだから。つまりはブランドという包装紙が企業価値そのものなのにその包装紙をいったん汚してしまったら100年の歴史もパアーです。伝説の名経営者、小林一三が作った「阪急」ブランドがこれほど傷ついた事件はほかになくいったん傷ついた信用を回復するのには100年かかります。

私が子どものころ森永ヒ素ミルク中毒事件(1955)という大変悲惨な食品公害事件がありました。130人もの赤ちゃんが猛毒のヒ素が混入したミルクを飲んで死に、13千名の赤ちゃんがヒ素中毒になりました。粉ミルク製造工程で添加物として純度の低い安ものを使用し、その添加物の中にヒ素が混じっていたのです。

もう半世紀も前のできごとですが、私は同世代の何万人もの赤ちゃんとその家族を今も苦しめている同社製品を買ったことがありません。森永ヒ素ミルク事件ほど深刻な被害はなかったのですが、プリマハム事件というのもありました(1967年)。

ハムの原料にコレラワクチン製造に使った払い下げ豚肉を使用していたという恐ろしい事件。しかしこの事件をきっかけにそれまでほとんど無名メーカーだったプリマハムが全国区に。私は「焼け太り」という言葉をこの事件で初めて学びました。

阪急は100年、200年かけてブランド力を取り戻して欲しいと思います。

2013年10月20日日曜日

増税と年金削減に思う


  デフレからの脱却を目指したアベノミクスは家計収入が増加するまえに増税と年金削減で庶民の生活をおびやかしつつあります。

消費税が8%になることについて国民の過半数はこれを是としています。平成元年に日本に消費税が初めて導入されたときのような反発や怒り、混乱はもはやみられないでしょう。あきらめの境地です。

一方、年金は物価スライドのタイムラグとかの理由で今後2.5%支給額を削減することが決まったようです。おまけに父(96歳)のような旧恩給制度が年金額に反映された世代の年金受給者はこの10月から支給額が10%カットされました。

今の若い人たちからは「我々の将来と違って、もともと恵まれた年金をもらってきたくせに少々減らされたからと言って文句をいうな」という批判があるかと思いますが、恩給という制度が約束されていたからこそ、安月給の公務員に甘んじてきた経緯もあったでしょう。あと10年もすれば恩給世代は完全にいなくなるのでそれまで待つことができなかったのかと思います。

消費税が増え年金が減らされるのと引き替えに少しでも現役世代に恩恵が及ぶのであればそれはそれで結構なことです。しかしながら、増収分は膨大な国の借金の返済と非効率かつ肥大化する一方の行政コストという暗黒星雲に吸収されるだけ、という悪い予感がします。

ところで日本国内において消費税を払わなくてもいい例外的な場所があります。空港の国際線出発ロビーにある店です。酒やタバコ、ブランド商品が免税になっていることは皆様よくご存じだと思いますが、雑誌やジュース、お菓子なども消費税抜きで販売されていることは案外知られていないのではないでしょうか。

ところがこのお得な免税店があるのは日本では出発ロビーだけですが、タイのバンコクなどでは到着ロビーにも免税店がありけっこうにぎわっています。そこで提案です。日本でも入国審査前の到着ロビーに免税店を設置してはいかがでしょう。ブランド店だけでなくスーパーやコンビニがあればなおうれしいです。

雑貨類は20万円まで無税なので相当な量の日用品が購入可。大赤字の空港会社にとって収益源になるとともに、旅行者にもささやかな免税のプレゼントになります。

魅惑のビオレソリエス



3,4年前からイチジクにニューフェースが登場しました。フランスから導入されたビオレソリエスという濃い紫色のとても甘いイチジクです。岡山ではまだこの品種が店頭で売られている光景を見かけませんが、通販では佐賀や新潟産が有名です。

イチジクの中で最高の品質だと聞くとどうしても自分で育ててみたくなり、どこかで苗木が入手できないものかと探していたら、赤磐市にある山陽農園さんが苗木を販売していることが分かり、3年ほど前赤磐の農園まででかけました。

山陽農園は苗木商としては割とマニアックな店で必ずしも岡山の風土にあっていない珍しい果樹の苗も多数扱っています。若い苗木だけでなく、フランス流に枝を整え、すでに実がなっているものまで売られていて見て回るだけでも楽しいもの。

私が購入したビオレソリエスも値段の高い大苗の鉢植えでしたが翌年はカミキリの幼虫が幹に穴をあけて芯を食い荒らし樹勢が衰えてしまいました。そこでカミキリの穴から殺虫剤を噴射し穴をチューインガムで密封し、さらにイチジクの木を鉢から庭に移してやりました。

昨年は木が育つのに精一杯だったのか収穫なし。ところが今年は9月になって実が熟してきました。黒っぽい紫の小ぶりの実があちこちに見えます。イチジクのいいところは桃などと違って実が一斉に熟さないことです。2,3日にひとつというぐあいに出し惜しみしながら秋の日にゆっくりゆっくり熟れていきます。

 その味は文句なしの美味! 試食してもらった訪問歯科の先生は「これは桃だ!」とおっしゃっていました。南フランスの海辺の丘陵に吹く風のにおいが漂ってきます。

同じ西洋イチジクでもスーパーでよく見かける「桝井ドーフィン」というイチジクは甘みが足りず水っぽく要求水準の高い日本の果物市場でなぜこれが生き残っているのか不思議。低品質のものを作り続けるよりビオレソリエスのような高級品にシフトすべきです。

佐賀や北国の新潟でできるものが岡山でできないはずがありません。現に私はビオレソリエスを庭先に植えてこれといった手入れもしていないのに最高の品質の実を収穫しています。ぜひドーフィンを作っている農家の皆様、ビオレソリエスの栽培にチャレンジしてみてください。

2013年10月2日水曜日

命がけの人命救助


 
9月、台風18号で増水した淀川の濁流にのみ込まれた小学生男児を厳俊さんという中国人留学生が果敢に川に飛び込んで奇跡の救出をなしえたニュースは近年中国に対して不信感や嫌悪感を増長させている日本人の心を深く揺さぶりました。

 常日頃尖閣問題をめぐって中国のことを口汚くこきおろしているネトウヨ(ネット右翼)たちも「感動した!」と絶賛一色。なかには「もう尖閣は中国にくれてやる。ついでに沖縄も付けたる」などと過激な言葉を吐くやからもいました。これは何かと政府に注文を付ける沖縄県知事に対する当てこすりでしょう。

 それはともかく自らの命を顧みない厳さんの無心かつ無償の行動はプロの政治家や外交官が何千人束になってかかっても太刀打ちできないような圧倒的な力で中国のイメージアップに貢献したという気がします。

 そして何よりもこの話がすがすがしかったのは流された男児も彼を助けた中国人青年もともに無事だったことです。これに反して10月1日に横浜で起きた踏切事故は何ともやりきれない悲しみを残しました。

 電車が迫ってくる線路上にうずくまった老人を見殺しにすることができずとっさに救出した40歳の女性は即死でした。女性の父親はけなげにも、娘は犠牲になったけれどおじいさんが助かってよかった、とマスコミに語っていましたがご両親の無念さ、喪失感はいかばかりか。助けられたおじいさん本人もその家族もまたつらい気持ちで生きていかなければなりません。

 「こういう場合、あなたならどうする?」だれも答えを出せない究極の難問です。もし救出行動を取らないで目の前でおじいさんが電車にはねられるのを看過したら、そうするしかなかったにせよ、悔恨が残り、その後の人生にその光景がつきまとって苦しむでしょう。だからと言って救出に駆け出したら今回のように最悪の結果になる可能性はきわめて大です。

 自分ならどう行動する(した)だろうか?淀川の場合は警察なり周りの人を呼ぶのが限界。でも踏切のケースでは助けに向かう気がします。そしてうまくやり遂げてみせると根拠なく想像します。以前交通量の多い交差点で亀が道路を渡っているのを発見したときクラクションの嵐にもめげず亀を助けた私ですから。