2010年1月28日木曜日

冬の牡蛎(カキ)


 終戦直後の食糧難の時代に育った私はきらいな食べ物がほとんどありません。食べ物に好き嫌いなど言っていては生きていけなかったからです。

 とはいえ、子どものころ母が作る雑炊に入った牡蛎だけは別で恐ろしくまずくとても食べられませんでした。 牡蛎に対する嫌悪感は大学生になるころまで続いていたのですが、一度広島出身の友人が広島の自宅に招いてくれ、そこで出された酢ガキを食べて私の牡蛎に対する認識は一変しました。雑炊の牡蛎とは全然違う! 古代から美食のある種頂点に君臨する牡蛎の味が分かる大人になれたことがうれしかったです。

 一説によれば、子どもがきらいな牡蛎も大人になるとおいしく感じられるようになるのは、生殖に必要な元素セレンが牡蛎に多く含まれているからだとか。

 先日1泊2日で東京に出かけました。出かける前の晩、留守のあいだに冷蔵庫の牡蛎が悪くなったらいけないと思って1パック全部を生で食べたのがよくありませんでした。

 2日目、東京の友人たちと白金台に昨秋オープンしたばかりのおしゃれなイタリアンレストランでワインを飲み始めたころからお腹に異変が。しかし目の前の柔らかい山形牛の頬肉、イタリア産の赤ワインとチーズ、絶品デザートの魅力には抵抗できずコースの最後まで味わい尽くして羽田空港に向かいました。

 空港ロビーで出発便を待つ間、体調はいよいよ悪くなり、意を決してトイレに行き山形牛の頬肉もワインもチーズもすべて惜しみなく流してきました。大正解でした。飛行機はピットを離れたあと30分も離陸待ちを強いられましたので。

 おいしい冬の生牡蛎も3つまでにしておかなくちゃ、そして新型インフルエンザに代わってノロウィルスがまん延している昨今、還暦を過ぎての暴飲暴食は時として命取りになることを学んだ小旅行でした。

2010年1月21日木曜日

インプラント使い回し事件


 愛知県豊橋市の歯科医がインプラント(人工歯根)の使い回しをしていたというとんでもない事件が発覚しました。今までも歯医者によってはインプラント技術の上手下手は十分あるだろうとは思っていましたが、まさか他人の治療で失敗したものを別の患者に埋め込むような悪徳歯科医が存在するなんて想像だにできないことでした。

 チタン製のネジは製造直後から空気中の窒素と反応してしだいに活着率が悪くなってくるらしく、それを快復するのに紫外線照射が有効であることをどこそこの研究機関が発見した、といった新聞記事を半年ほど前に読みました。未開封の新品でも在庫管理が悪ければ使い物にならないということです。

 そんなデリケートな人工歯根を使い回しで他人の顎に埋め込んでも根付くはずがないのは常識だと思いますが、案外悪徳治療を行っていたこの歯科医のねらいはそこにあったのかも知れません。非常に高額なインプラントが2,3か月で抜けてくれたらまたまた金儲けできますから。

 テレビは200万円も治療費を払ったのにインプラントが次々抜けてしまったという被害者が抗議のために歯科医院を訪れているところを映していました。ところが医院は「本日臨時休業」でしかも院長は風呂場で自殺を計ったとか。本気で死ぬ気があっての自殺騒ぎか怪しいものです。

 前代未聞のインプラント使い回し事件は果たして豊橋のこの歯科医に限ったことなのか、それとも程度の差はあっても氷山の一角なのか、ともかく衝撃的な事件でした。

 今回のような悪徳歯科医を早期発見するためにも治療費の一部でも保険適用にして常に外部から監視できるようにしてもらいたいものです。   

2010年1月19日火曜日

浅川マキ


年が明けたとたん各方面の訃報が目立つようになりました。
元阪神の投手、小林繁、桑田真澄の父親が昨日紙面に並んだと思ったらきょうは浅川マキが。

ときには、「時には母のない子のように」のカルメン・マキと混同しながらも私は彼女達のファンでした。
浅川マキの「夜が明けたら」をどうぞ。
夜が明けたら一番早い汽車に乗るから切符を用意してちょうだい・・・
ちっちゃな時から
朝日楼(朝日の当たる家)
考えてみると、「悪女」など初期の中島みゆきも浅川マキ風だったんですよね。それが途中からつまらない歌を歌い出して最後はNHKのプロジェクトXの臭いテーマソング路線になりついには花王アジエンスのCMで大衆に媚びを売るように。

カリスマはくずれる前に死ぬか、百恵のようにお隠れにならないといけません。そういえば、大晦日、反逆のカリスマ、魔裟斗もリングを去っていきました。いとしい者たちがみんなどこか遠くへ行ってしまいます。

2010年1月14日木曜日

防寒無策


 年明け早々日本列島は大寒波に呑み込まれ、南国の鹿児島でも雪が積もり、我が家でも戸外の水道栓が凍り付いてしまいました。

 この季節、断熱性能がいい暖かい家やオフィスにいればつらいどころか他のどの季節よりも落ち着いて素敵なものなのに日本人はなぜか太古の昔から寒さに無防備・無頓着です。

 防寒対策をする金や技術がないというのではなく、何か日本人の生活観、人生観のなかに寒さに耐えることが精神的に高尚なことで身体にもいいものだという思い込みがあるのではないでしょうか。その証拠に貴族社会でも武家社会でも火鉢以外に冬を乗り切る工夫をした形跡がまったくありません。

 このような風潮は現代にも生きていて、真冬に裸足で上半身裸で子どもを遊ばせている保育園がときおり話題になります。「子どもも喜んでいるし、風邪も引きません」などと園長が自慢気にしゃべっていたりします。とんでもない話です。先進国の中で日本に腎臓病患者が異常に多いのは寒さに無防備な生活様式が関係しているに違いありません。

 政府はエアコンのエネルギー効率などにはやかましく文句をつけるくせに省エネの鍵になる住宅やオフィスの断熱性能アップに対しては、まったく無策というわけではないにしても、いかにもやる気なしという印象です。

 県庁や市役所も廊下の電灯を消して回るような姑息な省エネはやめて、窓のペアガラス化を率先して行うべき。さらに小中高の窓ガラスの高性能化は校舎の耐震化工事よりもよほど児童生徒の健康増進に役立つと思います。

 10年ほど前にパリのルーブル美術館に久しぶりに行ってみたら、建物自体が文化財なのに、窓はすべて最新のペアガラスに入れ替えられていました。暖かい上海でもホテルの窓は3重ガラスが入っていました。
(清少納言も、昼になったら火桶の炭が灰になって興ざめだとは言っているが、寒いとは一言も言っていません)

2010年1月5日火曜日

春の訪れ


 毎年感じることですが、正月を過ぎると急に春めいてきます。夕闇に輝くクリスマスのイルミネーションが門松に代わっただけでこんなにも季節感が違うのかとても不思議です。
 寒さから言うと大寒はこれからだし、本当の春はまだずいぶん先のことですが、日々太陽の光が強くなり夕暮れもずいぶん延びてきていることが実感されます。
 まもなく庭に福寿草が咲き、山茶花に代わって椿のつぼみがほろこびはじめる。2月になれば寒咲きあやめやアネモネが殺風景な早春の庭を飾ります。
 春の訪れ、何という喜び。92歳、90歳の両親とともに厳しかった昨年をまた生き延び初春を迎えることができました。
 正月の新聞を見ると昨年は交通事故死した人の数が数十年ぶりに5千人を下回ったとか。警察は交通違反を厳しく取り締まる、車の安全性能が格段によくなった、昔みたいにかっこいい車を猛スピードで乗り回して女の子の気を引くバカな若者がほぼ絶滅したのが大きな理由じゃないでしょうか。大変けっこうなことです。
その一方、自殺者はこのところずっと年間3万人を超えています。太宰治のように生きる意味を見失って自殺するような文学的な理由で自殺する人はわずかで、大多数は経済的貧困、リストラ、金融情勢の逼迫といった痛ましく切実な理由によるものです。国は一段落した交通戦争への取り組みから自殺対策へ大きく舵を切るべきです。

 通常国会召集を前に鳩山政権は内憂外患で大揺れです。しかし本来鳩山さんが説いたのは友愛社会を実現することでした。超リアリスト国家アメリカと中国に挟まれて、鳩山さんの夢見るような友愛精神の出番はなかなかありそうもないのですが、国民はまだ鳩山植木等スーダラ節政権に夢を託しているのです。
 1年後の正月、すべての人が春をことほぐことができるような政治をお願いします。 

2010年1月3日日曜日

あけましておめでとうございます


本年もよろしく。

昨年はブログ更新をさぼってしまいましたが、今年は週一回更新しようと思います。
写真は近所の野良猫「ダディー」君です。うちの10匹の子猫たちの父親だと思い、ダディーと名付けました。

みなさまからの簡単なコメントをお待ちしています。

方法 コメントのところをクリックして、コメント欄に書き込んでください。
名前/URL を選択し、適当にニックネームを書き込んでください。
コメントを公開する、を選択してください。

毎日、記事と無関係なコメントが大量に送られてきていますので、私(管理者)が読んでこのブログあてのものかどうか判断してから実際に公開します。