岡山は日本では例外的に自然災害が少ない土地柄です。“台風が来たって四国山地が衝立のようにそびえているので岡山を直撃することはないだろう、津波も内海に入ってくるあいだにずいぶん勢力をなくすに違いない”と思っていましたが今回の台風はまるで岡山に吸い寄せられたかのような進路をたどりました。
しかし台風が岡山に上陸したというまさにその日、その時間は土曜日の昼間でしたが商店も病院も喫茶店もいつもどおり営業していました。一方、テレビは岡山市南区全域に避難勧告が出たとテロップを流していましたが緊迫感はゼロ、いったいどこの話かという感じでした。そして午後には風雨は収まり台風はそのまま鳥取に抜けていきました。(高谷岡山市長は台風来襲時にスポーツジムで汗を流していました)
翌日の新聞で岡山市北区や倉敷、玉野で浸水被害があったことを知って岡山県でも被害があったことに驚きましたが岡山県だけは死者、行方不明者ともゼロでした。大騒ぎした割には大したことはなかったというのが率直な印象です。逆に遠く離れた紀伊半島で死者行方不明者が100人を超したことを考えれば、やはり岡山は自然災害から元々まぬかれていることが実感されます。
全国的に防災意識が高まるなか岡山市南区で避難勧告に応じて避難所に逃げた人はたった数百人だったことに対していろいろと議論があります。そもそも南区の全員が避難する場所もないのに全域に避難勧告を出したのはおかしいと行政の不可解な判断を責める意見とともに危機感にとぼしい住民意識を嘆く意見などがとりざたされています。
しかし私には今回の岡山の人々の行動は事態を冷静に観察し現実的な判断をした結果であって、あれでよかったとしか思えません。へたに避難行動をとれば用水路に落ちたり、吹き飛んでくるトタン板で頭を切ったり、狭い避難所でのストレスで体調をくずすのが関の山です。
今後また岡山に台風が来たり高潮や津波の害が予想されることは必ずありますが、行政は南区全域などとおおざっぱな指定をするのではなく過去に浸水した地区を中心にピンポイントで指示を出すべきです。そして避難勧告を出す以上は周知徹底してもらいたいと思います。東日本大地震では日頃の安易な津波警報に慣れた住民がいちばんの犠牲者になったことは悲しくまた重い教訓です。
2011年9月3日土曜日
高速道路入口案内標識
高速道路の無料社会実験が行われていたころよく岡山道を利用しました。岡山道の全線が無料だったのですが、全線走ってしまうと無料ではありませんでした。なぜなら終端部分の岡山ジャンクションあるいは北房ジャンクションから降りることはできず山陽道なり中国道を走行した分が有料だったからです。
せっかくの社会実験というのにお役人の考えることは杓子定規だなあと思いました。山陽道、中国道の最初の出口まで無料にすればもっと利用が増え、高速利用の需要予測が正確にできていたのではないでしょうか。
さてそういう事情もあって私は一番家に近い早島インターではなく総社インターをよく利用しました。ところが岡山市撫川あたりから吉備路方向へ向かって県道270号線を西進しつつ総社インター入口を探しても標識があるべきはずのところになくいつも国道429の方へ大回りさせられていることに気付きました。具体的に言えばコンビニのサンクスがあるT字路のところです。総社インターに最短直行するこの場所になぜ標識がないのか? 県の道路課に電話してみました。
応対に出た職員は最初「何のこと? それどこ?」という感じで私は場所の説明をくどくど、「サンクスがあるT字路…」、理由をくどくど、「地元ドライバーだけでなく吉備路を訪ねてきた他県ドライバーも高速の入口が分からなくて困っているはず…」などと標識が必要な理由を述べたところ、「高速の標識は西日本高速道路の管轄ですからそちらへどうぞ」と話しは打ち切りになりました。
高速道路会社の担当者は「県道の標識は県にどうぞ」とこれまた似たり寄ったりの返事で、標識ひとつお願いするのも容易ではないなと思ったしだいです。
6月で社会実験も終了し岡山道も有料に戻りましたが、先日サンクスのあたりを走っていたらふと緑色も輝かしい“総社インター入口”案内のサインボードが取り付けられているのに気付きました。「言った甲斐があった! お役人は安請け合いできないから逃げ口上みたいなことを言うけどちゃんとやってくれるものだ」とちょっと感激しました。
カーナビをもっていない私にとってこれでもう迷わずに済む喜びとともに、市民の公共財産をひとつ増やすことに貢献した満足感がありました。
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