外出中、テレビニュースを何気なく聞いていたら、JR瀬戸大橋線が妹尾駅付近で発生した火災のため運転を休止していると伝えていました。私が住んでいるマンションがまさに妹尾駅前にあり、ひょっとして電気ストーブでもつけっぱなしにして外出して我が家が火元になっているのではないかと真っ青になりました。
あわてて帰ってみると火事が起きたのは近所のアパートでした。昼間の火災でしたが狭い路地しかない妹尾では消火活動も自由にできずアパートは全焼し、住人のお年寄りが1人行方不明になっています。
火事の現場となった岡山市南区妹尾は江戸時代の町割りがそのまま現代に続いていて、とにかく道が狭くメイン・ストリートですら車のすれ違いが困難です。まして道幅1メートル半ほどの裏通りに救急車や消防車が入っていくことは不可能。消失したアパートがもし広い道に面していて消防車が自由に近づけていたらあそこまでひどい燃え方はしなかったのではないかと残念です。
1971年に旧都窪郡妹尾町は吉備町、福田村などとともに岡山市と合併しました。隣の早島町は今現在でも独立した町制を保っています。早島町がその後開通した国道2号線バイパスに直結する道路を何本も整備したのと対照的に合併後の妹尾、吉備、福田地区は大規模な都市基盤整備がなされないまま40年が過ぎました。これら地域にはいまだに図書館すらありません。何のための市町村合併だったのかと思います。
町や村が市と合併するということは町村議会を失うことを意味し、その地域において主体的に行政課題を掘り起こし解決する機能を放棄したのと同じことです。地区から1人か2人市会議員が出ていても彼らは都市基盤を根本的に見直すビジョンを始めからもっていないし、また市を動かすだけの力もありません。早島町民の賢い選択がいまさらながらうらやましい限りです。
中世の町並みがそのまま残っている妹尾の町は住民の誇りでもありますが、そこで生活している人々は1年365日狭い道で車の頭をぶつけてにらみあいしなければなりません。
今回のアパートの火事はさいわいなことに類焼をまぬかれました。しかし妹尾町内全域が炎上する火災がもし起きてもなすすべがないのは火を見るよりあきらかなことです。