2013年2月14日木曜日

2月の歳時記

 実家の花壇は今や手入れをする人とてなく荒れ放題のまま春を迎えようとしています。公園の花壇のように季節ごとにきれいさっぱり新しい花を植え込めばいいのですが、なかなかそうはいきません。

母が植えた水仙、クリスマスローズ、チューリップ、ダッチアイリスなど球根類や宿根草が歳月とともに無造作にはびこっているのをエイヤっと処分するのがなんだか怖いのです。母が生きている限りはこのままにしておくのが無難な気がします。

そんな庭も2月中旬ともなればにわかに春めいてきました。今年も福寿草が8輪ほど花を咲かせています。パラボラアンテナのような花の形状は、寒い季節、太陽の光や熱を花の中央部に集める効果があるそうです。

福寿草は不思議な植物です。2月下旬ごろには花が終わり葉っぱがでてくるのですが、その葉は5月はじめには早くも枯れてしまいます。光合成をして養分を蓄えるにはあまりに短い期間しか葉がないにもかかわらずやがて早春が近づく頃にはまた大きなつぼみを膨らましてきます。

うち捨てられたような庭にも毎日訪問者があります。小鳥たちです。彼らの目当ては段ボール箱に入れたまま庭に置いてある渋柿。冬の霜に当たって渋が抜けて熟柿になっているのですが、鳥たちはなかなか頭がよく、集団でやってきて段ボール箱のふたを開けて中の柔らかくなった柿をついばんでいます。

野生の鳥は警戒心が強く私が玄関のドアを開けるといっせいに飛んで逃げます。ところが先日とても珍妙なことがありました。柿が入った段ボールのふたの上に重石代わりにプラスチック製の植木鉢を置いておいたのです。すると鳥たちはさっそくそんな重石なんかいとも簡単にどけて柿を食べていました。

重石代わりだった植木鉢は箱の上から落ちて地面に伏せたかたちで鎮座していたのですが何か様子が変です。近づいてみると「カサコソ」と音がし、隙間からは何か動くものが見えました。

びっくりしました。ウグイスが1羽プラスチックの植木鉢の中に閉じ込められていたのです。人間や猫には警戒を怠らない野生のウグイスもまさか植木鉢が頭の上に落ちてきて囚われの身になることは想像できなかったようです。鉢から出してやると一目散に山に帰っていきました。

安倍景気

 自民党に政権が戻って以来この3ヶ月間一本調子の円安・株高が続いています。安倍首相は日銀に対し強引にインフレ目標を押しつけ、白川日銀総裁は中央銀行に対する政治介入に抗議する意図を込めてか任期を残したまま安倍さんに辞表をたたきつけました。その結果を受けて今日の株価は一段高になりました。

私はこんなことを書きながら内心はらわたが煮えくり返る思いにとらわれています。自分に対する怒りなのでどうしようもないことですが……。

民主党政権下で塩漬けにしていた持ち株がアベノミクスのかけ声とともに上昇し始め1月末にはついに評価益が出る段階に達しました。人間って弱い存在ですね。大赤字を出しているときはあきらめ半分とはいえ“くそ株”に愛着さえ感じて冷静に保持できていたのに。

ところが何年ぶりかで利益がでる株価水準になったらどこからともなく「当面の利益を確保しておこう」という衝動がわきおこり、いさぎよく全部売却してしまいました。

その後予想どおり少し下げてきたので買い戻しを図ったのですが、1円の差で株価が反転。売った価格より高く買い戻すのも腹がたつし、明日下げたら買おうと思っていても、これが下がらない。仮に下げたら下げたで「今買うのは高値掴みになるのではないか」という恐怖にかられて、パソコン画面の「買」のボタンを押すことができません。つくづくギャンブルの才に欠けています。

でも相場に関しては生涯負け組に甘んじている素人投資家と証券会社のストラテジストやらアナリストなどと称している連中との間にどんな差があるというのでしょう。

ただひとつ違うのは失敗に対し個人は責任を取るけれど年金運用で何兆円もの損をこうむっても役人や投資会社は知らん顔、巨額損失はそのまま国民に転嫁するだけ。今回の株高で年金財団は少しは儲かっているのか年金生活者としては気になるところです。

ともかくバブル崩壊以降の失われた20年がようやく本格回復するきざしを見せてきました。いまの株価は“外人買い”に支えられてのことですが、株価暴騰に踊らされた個人が遅ればせながら買い出動して彼らの餌食にならなければいいが、と心配にもなります。(2013.2.6