食欲がなくなるこの季節、自分でも何を食べたいのか、何を食べたら胃も心も満足できるのかさっぱり分かりません。そんな折りテレビの料理番組(NHKきょうの料理)で土井義晴さんが「みょうがご飯」の作り方を紹介していました。いままさにみょうがの旬です。何だかおいしさの予感がします。
材料(4人分)はとてもシンプルですぐ覚えられました。米カップ2、みょうが120g、油揚げ1枚、塩小さじ1、これですべてです。みょうがは小さいものはそのままで、大きいものは二つか三つに切ってよく洗ってぎゅっと絞る。油揚げはみじん切りにするそうです。
ここでなぜ油揚げが入るかというと土井先生は「油揚げは西洋のベーコンといっしょで、料理に“こく”を出す役割がある」と解説していました。油揚げ=ベーコン! こういう本質をついた知識をひとつひとつ会得していくことが料理上手になるコツだろうと思います。
「米は洗ってざるにあげ、30分寝かせる」ここもポイント。そしていよいよ炊飯器に入れてスイッチ・オンですが、私は炊飯器の設定をあえて「倍速」(早炊き)にします。わずか20分ほどで炊きあがります。そのまま10分ほど待って、今度はおひつに移します(ここ重要)。
いまどきおひつにご飯を入れる家はまずないでしょう。私も保温を炊飯器まかせにしては“ご飯がまずい”と嘆いていました。「やはりおひつなんだ」、土井先生の言葉にしたがって、台所の天袋から昔のおひつを引っぱり出してみました。大丈夫、木のいい香りがします。
おひつに移したみょうがご飯はふわーっと食欲をそそります。暖かいうちもおいしいし、冷めてからもおいしい! 結局4人前のみょうがご飯を一人で食べてしまいました。
「こういうものを食べたかったのか!」ということに目覚めた私は、さっそく「炊き込みご飯変奏曲」を試してみました。油揚げ=ベーコンならいっそ素朴な油揚げではなく美星町で作られている地場のベーコンならなおいいはず。上出来です。
百合根と貝柱(缶詰の汁も使う)、エリンギと鶏のもも肉……要するにほくほくする野菜とこくがでるタンパク質のふたつがあればOKで余分な食材は入れません。毎日2合飯を平らげて食欲不振とおさらばです。