2016年8月14日日曜日

女性リーダーの時代

7月は参議院選挙と東京都知事選が立て続けにありました。参院岡山選挙区でも無名の新人女性が同じく無名の男性2人を大きく離して当選しましたが、何と言っても世間の注目を引いたのは都知事選に所属政党が定める手順を無視して名乗りをあげ、都民から圧倒的な支持をかちえた小池百合子氏の存在でした。
都知事選は舛添前知事のあまりにせこい公私混同による辞任にともなう選挙で、最初は主要3候補とも争点がはっきりしなかったのですが、中盤から“都議会のドン”なるものの存在が大きくクローズアップされ、都議会との対決を標榜した小池さんの主張は都民の目をひきました。
これまで何十年もこのドンが知事をも尻に敷いて都政を思うままに牛耳ってきたというのですから驚きです。東京都以外の道府県議会、市町村議会でも似たり寄ったりの状況があるのではないでしょうか。このような戦果をもたらしたものはもちろん小池さんが、闇の深さも分からないまま勇気を出して“崖から飛び降りた”からにほかなりません。
このあたりになんだかんだといって権威と組織の序列に弱い男の政治家にはない度胸のよさを感じます。話を広げることになりますが、そもそも男の候補者たちが言っていることは抽象的でおおざっぱ、要は何をしたいのかしどろもどろではっきりしない(老ジャーナリスト候補)のに対して女性の主張は明解。何事においても女性が常に身近なことを具体的、実戦的に捉えるのはある意味、生物としての性の差に由来するのではないかという気がします。
テレビでサバンナのライオンの群の様子をよく見ますが、狩りをし、子育てをしているのは雌ライオンです。雄ライオンが何をしているかというと、もっぱら縄張りの管理(おしっこをまき散らす)と群の用心棒であり、ひまさえあればだれがドンであるか力比べをすることだけ。

協調性、生産性、緻密な計画性などすべての面で女性の方がほんとうは優れていることに日本も遅ればせながら気づいてきたのが昨今の政治状況ではないかと思います。それにしても東京オリンピックに向けて安倍総理は“女ヤジ将軍”こと丸川珠代氏を五輪相に任命し、小池都知事にぶつけてきましたが、品のかけらもないキャッツ・ファイトだけはよしてもらいたいと願います。

別格の果物、清水白桃

果物は太古の時代からいつでもどこでも、熱帯から極地にいたるまで人類からこよなく愛されてきた食べ物です。牛肉や豚肉のように民族によって宗教的な禁忌扱いを受けることもなく、その土地や気候に適した果物が食卓にのぼります。中でも日本は数多くの果物に恵まれ、とりわけ岡山は自他ともに果物王国の名をほしいままにしていますが、これは量より質において“岡山”がブランドになっているからでしょう。
その岡山を代表するのがマスカット・オブ・アレキサンドリアと清水白桃です。ほぼ春から晩秋まで出荷されるマスカットに比べ清水白桃は今でも7月下旬から8月上旬のわずかな期間しか出回りません。しかも本当においしいのは大きくふっくら色白に育ったものだけ。そんな最高級の桃はそれなりのお値段です。
吉備路にある山手農協の直売所では高いものは1箱1万4千円でした。生産者にしてみれば気難しく手のかかる清水白桃を育てるにはそれだけの価格になるのは当然のことだと推察されます。
皮肉なことに岡山に住んでいて毎年東京の知り合いに最高級の清水白桃をお中元に送っているのに肝心の送り主はどうも手が出ないのです。
ところが先日近所のスーパーで“訳あり”の清水白桃が5個入った箱が積み上げられていました。たったの1200円! 箱の中をみると東京の知り合いに送ったものと色といい形といい何ら遜色ありません。しかも5分の1のお値段。ただ生育途中に付いてしまった傷跡の斑点がところどころあるのが“訳あり”の訳なのでしょう、捨て値です。迷わず1箱買って帰りました。お味は?
どんな言葉で形容しても陳腐な表現になるのはいたしかたありません。しかしあえて言うと放縦というべき逸脱感。エロチックを超えてみだらな果物であります。最近数多く出回っている何々白桃の類が「どこか違う、何かもの足りない」と常に思わすのに対し、清水白桃はまさに別格。果物の王様にまちがいありません。

10年前、認知症が進行していた母に白桃を食べさせたら気管につまり救急搬送して命は取り留めましたが、それ以来私は桃がトラウマになって自分に対し桃を食べることを禁じていました。でももう時効です。母にも桃をジュースにして胃ろうから食べさせようと思います。