なかでも道南の内浦湾(噴火湾)に面した町、川汲(かっくみ)や尾札部(おさつべ)で採れる天然ものは最高品位とされています。川汲には川汲川という短い川がありわずかながらもサケが遡上するそうです。
さて料理好きの私ですが、どうも出汁がうまく取れないのが長年の悩みでした。スーパーで買ってくる昆布に問題があるのかそれとも出汁の取り方に問題があるのか原因を突き止めるためにまずは最高級の昆布を使用してみなくてはと考えました(こういう発想法がいかにも男子の厨房です)。
そこで川汲浜の天然真昆布を扱う店をネットで検索したら創業百有余年のなにわの老舗が見つかりました。「こんぶ土居」という店です。びっくりしたのはこの店は私が30年近く大阪で暮らしていたころ日常的に買い物をしていた谷町の空堀商店街にあった店でした。日ごろ塩コンブを買っていた店が大阪一、いや日本一の店だったとは!
さっそく川汲浜で採れる天然真昆布をそのままの姿で干したものを取り寄せました。羅臼昆布のような分厚く豪快な昆布ではなくいかにも繊細で独特の品と格を感じます。人間に例えるのは変ですが、早稲田の斎藤佑樹投手のような佇まいです。
「こんぶ土居」のご主人は毎年川汲浜へ通って漁師や現地の高校生などと交流を続け、昆布収穫期の夏には船に乗って昆布漁の手伝いもされているほどの入れ込みよう。
豊かな森林が川に栄養をもたらしその水が海にそそいで最高の昆布を育てるのでしょう。そして海のミネラルを森に運ぶのが産卵のために遡上して卵を産んだ後死んでいくサケたちです。豊かな自然のサイクルのなかから川汲浜ブランドの昆布が生まれてきます。
さてさてお味の方はというと、到着した昆布の美しさを今しばらく眺めていたいのでまだ封を切っていません。おせち料理を作るときまで待つことにしました。心配なのはふだん「ダシの素」なども平気で使っている私には本物は頼りない味に感じられるのではないかということです。
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