11月初めの日曜日、岡山シンフォニーホールで「華麗なるロシア音楽」キエフ国立交響楽団の演奏会があり、最前列で感動のひとときを過ごしました。さまざまな楽器が音を奏でるようすや演奏者の表情がすぐ近くに見えコンサートの始めからから終わりまで飽きることがありませんでした。
目の前でスペクタクルが展開するオペラと違って純粋に聴覚に頼るオーケストラ曲はレコードとかCDで聞く方が音楽に集中できるので、私は今まであまりコンサートに出向くことをしてきませんでした。大きな間違いだった、と生演奏のすさまじさにびっくりし、感激し、すっかり興奮してしまいました。
半世紀前、中学生になったとき数学の最初の授業で謹厳実直な教師が「これから君たちが勉強するのは算数ではありません。“数学”という学問です。他の科目で学問を表す“学(がく)”が付く教科はないでしょう!?」と誇らしく言われました。するといつもみんなを笑わせていたK君が手を挙げて「先生、音楽があります」と答えて謹厳な先生も思わず苦笑いされていました。
そう、音楽の楽は学問の学ではなく文字通り「音を楽しむ」ものであることを今回のコンサートで改めて実感した次第です。チャイコフスキー、ピアノ協奏曲第1番の圧倒的な迫力、力強さは驚異的でした。目の前で聞くとピアノの音が地鳴りか雷鳴のように聞こえます。CDやレコードでは有名な第1楽章が終わると残りの楽章は退屈なのに全然そんなことがなく最後まで楽しめました。
ただ残念なこともありました。すぐ後ろの席(つまり2列目)の初老カップルが演奏の最中にずっとおしゃべりしているのです。演奏者にも聞こえていたのではないかと思うとたまりませんでした。
また岡山シンフォニーホールは客席数2千の大ホールですがおよそ半分ぐらいの入りでした。日本人にもなじみの深いボロディンやチャイコフスキーを本場の演奏で聞く機会はめったにないのですが。
宣伝が下手なのか、(根がケチな)岡山という風土のなせるわざなのか? 音楽大学まである岡山県なのにお寒い光景でした。晩秋の日曜日の昼下がり、中高生や大学生の皆さんにも勉強やバイトをちょっと休んで聴きに来て欲しかったなあ。
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