伊豆の山中で、不法に設置された動物避けの電気柵に触れて死傷した2組のご家族のニュースを聞いてあらためて電気の恐ろしさを見せつけられた思いがしました。
感電事故にあった家族はなぜあの場所に近づいたのか報道ではよく分かりません。そこで私の推測です。ひょっとすると川面に瀕死の魚が浮いていてその光景に子どもたちが興味をそそられ川に向かって突進したのではないか、そんな気がします。
なぜそんなことを想像するかと言えば、私が7,8歳の子どもだった昭和30年前後のことですが、近所のちょっと年かさのお兄さんたちが電気で小川の魚を捕っていたのを思い出すからです。
小川のそばで自転車の燈火用の発電機に電線をつないで電線の端を川の水の中に入れます。昔の自転車の発電機は後輪に取り付けられていたのでスタンドを立て、自転車にまたがって後輪を回して発電することができたのです。
ペダルをぶんぶんこぐと驚くなかれ、川面にフナや“ハエ”と呼んでいたスマートな小魚などがいっぱいプカーっと浮いてきます。そこを網で一気にすくい取るのです。
でも、これもあいまいな記憶ですが、こんな素朴な電気ショック式魚取りも子どもたちのあいだでは違法という共通認識があり、おおっぴらにやるのはまずい、お巡りさんに見つかったらただではすまないという戒めがあったような気がします。子どもたちはこうして電気は水中を流れフナやコイを殺す恐ろしい力があることを学んでいきました。
自転車の12ボルト程度の電気でも十分恐ろしいのに今回の違法事例ではトランスで400ボルト以上にも昇圧していたと報道されています。過失の大きさははかりしれません。
夏休みに自然に触れようと山や海に出かける子どもたちは、美しい自然の中にもこんな理不尽なワナがいたるところに仕掛けられていることにもっと敏感にならなければなりません。浮いている魚の背後には農薬散布とか漏電などとにかく危険な背後があることを予想してほしいです。
ついでながら牧場などを訪れたときまちがっても電気柵におしっこをひっかけてはいけません。塩分を多く含んだおしっこを伝って高圧電流に直撃され、あられもないかっこうで失神します。(たぶん……)