2015年8月28日金曜日

なぜ特殊詐欺に引っかかるのか?


岡山県警のまとめでは今年上半期の特殊詐欺被害額が9億円に上り、すでに昨年1年間の額を上回ったとのことです。警察も被害の大きさに危機感をもったのか老人がいる家庭を戸別訪問して注意を喚起しています。残念なことに警察やマスコミの努力は限定的であり、ますます被害者が増えているのが現状です。

よくテレビでお年寄りが1000万円もの振り込め詐欺にあったなどというニュースを聞くとだれもが「そんなバカな! 息子が交通事故を起こして法外な慰謝料を請求され路頭に迷っている、などと親に泣きついてくるなんて詐欺に決まっているではないか」と簡単に騙されてしまう被害者に首をかしげます。

では、そもそもなぜ人は簡単に特殊詐欺に引っかかってしまうのでしょうか? 私なりにその理由を考えてみました。ひとことで言えばオレオレ詐欺は人の心理の隙を巧みについているからだと思います。

どんなに子どもを信頼している親でも心のどこかに子どもの人生に待ち受けている危機に不安を抱えています。ある日これまでまじめ一筋、エリート街道を歩んでいた自慢の息子が「会社の金に手をつけてしまった。今日中に金を会社の金庫に戻しておかないとクビになる」と言い出すこともないことではない。

「飲み屋で知り合った女性と一晩つきあったらこれが質の悪い女でやくざのヒモが出てきて脅されている。すぐに500万円渡さないと殺される」、「会社経営に失敗して不渡りを出しそうだ」などと突然電話で泣きつかれたとき、親は“詐欺だ”と思う前に自慢の息子に対する信頼がガタガタと崩れて“心配が現実になった、今こそ親の出番だ”と思ってしまう悲しい親心。(演歌調ですが)

親は子どもが思っているよりはるかに寛大で子どもを無条件で愛しています。ある日息子や娘が自分は性同一性障害者だとカミングアウトしても少し驚きとまどった後、「自分の育て方が悪かったのか?」などと自責の念にかられこそ息子や娘を責めたりはしないでしょう。
そんな親心の優しさ寛大さの脆弱なポイントに毒の矢を放つ特殊詐欺には厳罰をもって臨むほかに効果的な対策はありません。騙される親を笑うなどもってのほか。他者を少しでも愛する人は必ず特殊詐欺のターゲットになります。私も含めて。

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