2016年3月10日木曜日

地番VS道路名住所

20代のころから欧米を中心によく海外旅行に出かけたものですが、あまり人に道を聞いた記憶がありません。忙しそうに往きかう人を呼び止めるのは何だか気恥ずかしいし、言葉が通じなかったらどうしようという恥じらいもあります。しかし町の地図を持ち、住所さえ分かっていれば欧米でも中国でも目的地は簡単に分かるのでそもそも人に尋ねる必要がないのです。
道という道すべての通りには固有の道路名が付いていて、建物には番地を記したプレートが張り付けてあります。番地は通りを挟んで奇数偶数に2分され、連続していますので、目的の通りに出たらとりあえず近くの建物の番地を見ればあとは自然に目的地にたどり着きます。
ところが日本の地名、地番はまったく目的地を特定するのに役立ちません。このごろはナビやスマートフォンの地図アプリを使えばピンポイントで目的地が分かるので何とかなるようになりました。ところが日本を訪れる外国人にとって話は別。駅に着いたもののそこから先、なすすべもなく途方に暮れてしまいます。
先日も大阪のミナミ、南海電鉄の難波駅で友達と待ち合わせをしていたら、関西空港からやってきたらしい若者2人連れが壁の地図を見ながら困ったようすをしていました。私は声をかけてみました。
韓国からの旅行者で日本語も英語もまったく通じません。スマホの「はなして翻訳」というアプリを介してどこに行きたいのか聞いたら、心斎橋のカプセルホテルであることが分かりました。我々も心斎橋に行くことになっていたので、「連れていってあげるから」と言って地図アプリを頼りに歩き始め何とか目的地まで送り届けることができました。
「いやー、あんな場所日本人でも絶対見つからんわ!」。カプセルホテルはひっそり雑居ビルの地下にありました。韓国人青年たちは腰を90度曲げて感謝の気持ちを表していましたが、その韓国は201411日から日本式地番を廃止し欧米式の「道路名住所」に変更しました。

日本人にとっても外国人にとっても日本の町ほど目的地にたどり着くのが困難な国はほかにありません。地番システム変更はすぐには無理としてもせめて道路には横丁にいたるまで漢字ローマ字併記で名前を付けてもらいたいものです。

0 件のコメント: