2016年10月5日水曜日

大阪、京都への旅


 1泊2日で大阪に行ってきました。昔公務員時代に27年間住んでいたころは大阪という個性の強い街に特別な感情もなく、日々の生活に追われて暮らしていたのですが、長い介護生活が終わって10数年ぶりに訪れた大阪は泣き出したくなるほどしっとり、しっくりくる街でした。
 もちろん介護生活の最中でも時々は親を病院で預かってもらって大阪に行くことはあったのですが、介護をさぼっているという後ろめたさが頭の片隅に常にあって、用事だけ済ませてはせきたてられるように岡山に帰ってきたものです。
 でも今は気分が違います。最終列車に乗り遅れたら適当にビジネスホテルに泊まってゆっくりすればいい、ついでに京都に寄ってもいい……と思えば昔よく時間を過ごした喫茶店やバーを心ゆくまでハシゴできます。
 まずは梅田のお初天神境内横にある蕎麦屋、「瓢亭」で夕霧そばを。せいろで蒸したユズ切りのあつあつそばをやけどしそうなくらい熱い出汁につけて食べる快楽!そばを食べるまえに冷酒に板わさ、ニシンの甘露煮は外せない。もう先代のおばちゃんはとっくに亡くなったみたいだけど今のおかみさんの気遣いのやさしさにも涙腺が緩みます。
 中之島の国立国際美術館で開催中の「始皇帝と大兵馬俑」展を足早に見て、千日前の「丸福珈琲店」に直行。昭和9年創業らしく、私が大阪で働き始めたころすでに老舗の雰囲気がありました。ブレンドに角砂糖2個とミルクを入れたコーヒーの濃さと深い味わいは今も昔も私にとっては世界一。丸福珈琲は今では日本各地に支店を出しているけれどコテコテ・ナニワのど真ん中の本店の味は余所では出せません。
 コーヒーの後は法善寺横町の水掛不動さんの顔めがけて手押しポンプで汲みたての水をかけます。そして「238」(ふみや)というひっそり目立たないバーへ。ここも代替わりしているけれど、マスターのおっちゃんもおばちゃんも優しい。キャベツとベーコン炒めをリクエスト。また泣けてくる。大阪の人はどうしてこんなにやさしいの?
 翌日は京阪電車で京都四条へ。お目当ては高瀬川沿いの「フランソワ喫茶室」。喫茶店の建物が国の登録有形文化財だなんて忘れていい。ひたすら居心地のいい喫茶店です。ああもう紙面が尽きてしまいました。

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浪花恋しぐれ 都はるみ・岡千秋

「浪花恋しぐれ」では作曲家の岡千秋自身が男性パートを歌っています。発音、イントネーション、母音と子音の融合、大阪人ではない私にはそれがきっすいの浪速言葉かどうかは分かりません。
岡千秋は岡山県日生(ひなせ)生まれ、大阪弁を習得するのに苦労したようです。都はるみは京都生まれです。でも二人とも大阪生まれの人以上に大阪の雰囲気を出していると思います。

(男・セリフ)
そりゃわいはアホや 酒もあおるし 女も泣かす
せやかて それもこれも みんな芸のためや
今にみてみい!わいは日本一になったるんや
日本一やで わかってるやろ お浜
なんやそのしんき臭い顔は 酒や!酒や!
酒買うてこい!

(女・セリフ)
好きおうて一緒になった仲やない
あんた遊びなはれ 酒も飲みなはれ
あんたが日本一の落語家(はなしか)になるためやったら
うちはどんな苦労にも耐えてみせます



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