バンクーバーで乗り換えに手間取り、滞在先の親戚に連絡していた便には乗れず、結局2時間以上遅れてカルガリーに到着しました。空港には従姉夫妻が迎えにきてくれていて再会を喜びあい、15分ほどのドライブでシニア世帯限定のヴィラの一角にある従姉の家に到着しました。
行く前に想像していた住居とはまったく異なり、総戸数60軒ほどの家がゆったり配置されたフツウの高級住宅街でした。ヴィラの住人は全員55歳以上であるのが一般の住宅街と異なっていて、昼間ほとんど人通りもなく、シーンとしているのが私には少し寂しく感じられました。
家は典型的な北米スタイルで平面フロアーと半地下フロアーの2層になっていて、私には半地下のフロアーにあるベッドルームが用意されていました。半地下と言っても日当たりのいい窓からすでに赤や黄色に染まった庭木が澄み切った空を背景に風にそよいでいるのが見えて落ち着きます。初日は長旅の疲れと時差ボケがひどく早々と快適なベッドに潜り込みました。
翌日の昼、従姉の娘夫婦や姪や甥っこ(といってもすでに50代後半ですが)訪ねてきたので、台所を借りてハヤシライスを作って食べてもらいました。日系の人たちに限らず、彼らが知っている日本食といえば、寿司、天ぷら、ラーメン、焼き鳥などがポピュラーで、意外にもカレーやハンバーグ、トンカツなど日本の洋食メニューについてはそんなものが存在することすら想像できないようです。私のハヤシライスは大好評で大鍋一杯作ったのが完食でした。
カルガリーに滞在中、従姉の甥や姪の家にもお茶に呼ばれましたが、どの家も本当によく片づいていて、マスターベッドルームからユーティリティ、地下のボイラー室に至るまで家の中を余すところなく見せてくれます。来客にすべてを見せるのには何らかの歴史的あるいは社会的、心理的動機がきっとあるのでしょう。
「この家に滞在するあなたの安全は保障されています。間違っても隣の部屋でナイフなんか研いだりしてません」というメッセージが隠れているのかもしれません。(学生時代からの畏友ISさんのご意見を採用させてもらいました)
滞在中どの家に泊めてもらっても朝、目が覚めたときいつも「ここは高級ホテルのスイートか?」と勘違いするくらい彼らの住まいに対する執念には圧倒される日々でした。(続く)
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