2022年3月11日金曜日

副鼻腔炎 老女医の荒療治ですっきり

 中学生のとき臨海学校で豊島に行きました。そのとき海水が鼻に入ったのが原因だったかどうか分かりませんが、副鼻腔炎を起こし夏休みに日赤病院(現在の中銀本店所在地)で残酷な手術を受けました。そのときいっしょの部屋にいた患者が、副鼻腔炎は年を取ったらまた再発するものだと言っていたのが気になりました。実際、それ以来風邪を引くと最後は鼻詰まり、つまり急性副鼻腔炎になり耳鼻科のお世話になって今日までやってきました。1,2回耳鼻科に行けばすぐ治るのが通例。

ところが、2月下旬ごろから上右奥歯が痛み始め、抜歯してインプラントにするかどうかなどと歯科医と協議しているうちに、顔の右半分が腫れて目の下に常に鈍痛があり、歯が浮いて気分は最悪。そこで中庄の川崎医大病院・耳鼻科でCTを撮ったら右上顎洞にぎっしり膿がたまっているとのことでした。川崎医大の耳鼻科、皮膚科、眼科の医師はほぼ例外なく若くてきれいなおねえさんですが、何を聞いても画像から分かることしか言わないし、マニュアルどおりの薬の処方です。「奥歯が原因かどうかは分からない」。私が「上顎洞の開口部から直接膿を吸い出すことはできませんか」と尋ねたら「部位的に難しいです」とのこと。
「では、抗生剤3ヶ月分処方します」というので、「3ヶ月も!?」と言ったら、1ヶ月に減らし、そのころ来るように言われました。
 
もっと強制的、物理的に膿を排除することはできないのか、そんな話を喫茶店で話していたら、畳屋のコバヤシさんが、「鼻の中からストローぐらいの針を上顎洞にぶっさして膿を吸い出してもらったことがある。効果は劇的で一気に蓄膿の不快な症状が消えた。紹介しようか?」という。太い針が骨を貫通するとき「ベキッ」という音がしたけど一瞬だった、などと。
 
川崎医大で処方された抗生剤がすぐ効くわけもなく、食欲、気力が日に日に落ちて途方に暮れ、昔よく行っていた妹尾駅前のサイトウ先生(女医)を訪ねてみました。「亀の甲より年の功」というか、先生は「上顎洞の開口部から膿を吸い出すことはできますよ。やってみますか?」と余裕のお言葉。
「私に耐えられるでしょうか?」
「さあ、どうでしょう。若い男性はよく気を失います」おばちゃん先生は何とも言えない微笑みをたたえながら私の目を見ている。
ここで決断しないと、これがラストチャンス、それに私は若い男ではない。
「もうやけくそです。やってください!」
5分ほど麻酔薬が効き始めるのを待っていざ開始。
私は複雑な鼻の構造に対し柔軟に折れ曲がるポリエチレンのチューブでも使うのかと思っていたのに、先生の手にはステンレス製のJ型のノズルが、、、
「いきますよ、ちょっと顎を引いて」と言われ顎を引いた瞬間、老女医の手が俊敏に動いた。
「ウギャー! マジっすか?」
あんな硬いステンレスノズルがいったいどうやって複雑に屈曲した鼻の空洞に入り込めたのかは謎。
 
ノズルの先端をあちこち動かしながら膿を吸い出し、生理食塩水で洗浄することわずか数分。この医院、いつもは診察台に座ると中年の看護師のおばちゃんが体をぴったり私に寄せ付けて両手で頭を固定。それをやられるたびにウザイと思っていたのですが、今日は優しいおばちゃん先生と体を寄せて守ってくれる看護師さんの体温を感じながら、まるで胎児に戻ったような安心感を覚えました。
 
「どうです。すっきりしたでしょう」とおっしゃるのですが、あまりのことに茫然自失。10分ほど経過観察して無事会計へ。あれだけ大変な処置(私にとって)だったのに、お支払いはたったの590円でこれにもびっくり。

翌日
半日ほど血が交じった鼻水が出ていたが、今朝はすっきり。顔の腫れも引いて歯痛も収まる。恐るべし蓄膿直接吸引洗浄荒療治。
 
これで一件落着かというと、上顎洞炎の原因である奥歯の抜歯、インプラントなど苦難の道はまだしばらく続きそうです。

2022年3月9日水曜日

「人生案内」

 今や激変する世界情勢に関するニュースや論壇、経済統計などは新聞よりもテレビ、ネット、専門サイトの方がより効率的、双方向的に情報を得られます。新聞をゆっくり読むのは喫茶店でくつろぐときぐらいのもの。そんなとき私が必ず目を通すのは「人生案内」(読売)などの人生相談。これでもかと毎日毎日人間の苦悩が綴られています。

 たしかロシアの文豪トルストイの言葉だったと思いますが、「幸福な家庭はどれも似たものだが、不幸な家庭はそれぞれに不幸なものである」という名言があります。大正3年に連載が始まったという「人生案内」は100年を超す長寿コラムとのこと。不倫、夫婦の間の秘密を告白すべきか、親への批判、パラサイト化した子どもへの絶望感、果ては亭主のちょっとした下品な仕草にはがまんできないから離婚すべきか、などと同音異曲の相談が途切れることはありません。

 そんな相談事例の中でも最近とりわけ心を打ったのがあったのでここに簡単にご紹介します。

60代男性、子どもは独立、妻との平和で豊かな日々。世間的には満ち足りた幸福な人生。しかし私には思い出すだけでも怒りに震え出すような悔しい記憶がある。中高一貫教育の名門校(兵庫県といえばあの高校か)で不登校気味になった自分に吐きかけられた教師らの侮蔑的な言葉や態度!「この野郎……」

今は会社社長をしていて収入も平均以上、ボランティアなど社会生活も立派にこなしている。でももともと優秀校だったので同級生たちを見回しても自分の立身出世など自慢にもならない、そこがまた悔しい……心の持ちようを教えてください、という悲痛な内容です。

初老の男の女々しさをここまで率直かつみごとに語った相談も珍しいと思いました。そんな感動的なお悩み相談なのに、大学教授の回答は正直ピンぼけで、「そんな苦しい経験があったからこそ今の幸せがある」と思え云々と。そんな説教を聞いてこの60男の怒り、悔しさが慰謝されるわけがない。なぜ日本人はこの先生のようにものごとを精神論で片づけたがり丸く収めようとするのか。私なら「今からでも五寸釘と藁人形を用意し丑の刻参りをすべき。怒りを忘れたころに呪いは必ず届くもの」とアドバイスしますよ。


2022年3月5日土曜日

アニサキス症

 先日、スーパーで美味しそうな生の鯖を売っていたので1尾買ってシメサバにしてみました。ママカリ、ニシンの酢漬け大好き人間としてはこってり脂の乗ったシメサバには抵抗できません。しかしながら、鯖は寄生虫のアニサキスがいることで有名で、じっさい包丁を入れたら断面から1匹ぷにゅっと切れたのが出てきました。アニサキスは酢に対してとても強い耐性があるそうで、酢の中に入れられても1週間は死なないとか。そういう知識はありながら、シメサバを作り、しかも2日後に食べたらどうも当たったらしく、昨夜は2時間おきに胃痛と吐き気に苦しめられました。深夜、友人に電話したら「救急受診しろ!」と促してくるのですが、深夜に胃カメラなんて精神的に無理。ネットで調べたら正露丸が特効薬レベルで効くというので、朝イチで買って飲んでみました。何となくよさそう! 100錠入りで800円と激安なのもうれしいです(昔ながらの黒くて臭いやつ)。正露丸は昔は日露戦争勝利にあやかり征露丸と称していましたが、またこの旧名に戻すべきかと。