中学生のとき臨海学校で豊島に行きました。そのとき海水が鼻に入ったのが原因だったかどうか分かりませんが、副鼻腔炎を起こし夏休みに日赤病院(現在の中銀本店所在地)で残酷な手術を受けました。そのときいっしょの部屋にいた患者が、副鼻腔炎は年を取ったらまた再発するものだと言っていたのが気になりました。実際、それ以来風邪を引くと最後は鼻詰まり、つまり急性副鼻腔炎になり耳鼻科のお世話になって今日までやってきました。1,2回耳鼻科に行けばすぐ治るのが通例。
ところが、2月下旬ごろから上右奥歯が痛み始め、抜歯してインプラントにするかどうかなどと歯科医と協議しているうちに、顔の右半分が腫れて目の下に常に鈍痛があり、歯が浮いて気分は最悪。そこで中庄の川崎医大病院・耳鼻科でCTを撮ったら右上顎洞にぎっしり膿がたまっているとのことでした。川崎医大の耳鼻科、皮膚科、眼科の医師はほぼ例外なく若くてきれいなおねえさんですが、何を聞いても画像から分かることしか言わないし、マニュアルどおりの薬の処方です。「奥歯が原因かどうかは分からない」。私が「上顎洞の開口部から直接膿を吸い出すことはできませんか」と尋ねたら「部位的に難しいです」とのこと。
「では、抗生剤3ヶ月分処方します」というので、「3ヶ月も!?」と言ったら、1ヶ月に減らし、そのころ来るように言われました。
もっと強制的、物理的に膿を排除することはできないのか、そんな話を喫茶店で話していたら、畳屋のコバヤシさんが、「鼻の中からストローぐらいの針を上顎洞にぶっさして膿を吸い出してもらったことがある。効果は劇的で一気に蓄膿の不快な症状が消えた。紹介しようか?」という。太い針が骨を貫通するとき「ベキッ」という音がしたけど一瞬だった、などと。
川崎医大で処方された抗生剤がすぐ効くわけもなく、食欲、気力が日に日に落ちて途方に暮れ、昔よく行っていた妹尾駅前のサイトウ先生(女医)を訪ねてみました。「亀の甲より年の功」というか、先生は「上顎洞の開口部から膿を吸い出すことはできますよ。やってみますか?」と余裕のお言葉。
「私に耐えられるでしょうか?」
「さあ、どうでしょう。若い男性はよく気を失います」おばちゃん先生は何とも言えない微笑みをたたえながら私の目を見ている。
ここで決断しないと、これがラストチャンス、それに私は若い男ではない。
「もうやけくそです。やってください!」
5分ほど麻酔薬が効き始めるのを待っていざ開始。
私は複雑な鼻の構造に対し柔軟に折れ曲がるポリエチレンのチューブでも使うのかと思っていたのに、先生の手にはステンレス製のJ型のノズルが、、、
「いきますよ、ちょっと顎を引いて」と言われ顎を引いた瞬間、老女医の手が俊敏に動いた。
「ウギャー! マジっすか?」
あんな硬いステンレスノズルがいったいどうやって複雑に屈曲した鼻の空洞に入り込めたのかは謎。
ノズルの先端をあちこち動かしながら膿を吸い出し、生理食塩水で洗浄することわずか数分。この医院、いつもは診察台に座ると中年の看護師のおばちゃんが体をぴったり私に寄せ付けて両手で頭を固定。それをやられるたびにウザイと思っていたのですが、今日は優しいおばちゃん先生と体を寄せて守ってくれる看護師さんの体温を感じながら、まるで胎児に戻ったような安心感を覚えました。
「どうです。すっきりしたでしょう」とおっしゃるのですが、あまりのことに茫然自失。10分ほど経過観察して無事会計へ。あれだけ大変な処置(私にとって)だったのに、お支払いはたったの590円でこれにもびっくり。
翌日
半日ほど血が交じった鼻水が出ていたが、今朝はすっきり。顔の腫れも引いて歯痛も収まる。恐るべし蓄膿直接吸引洗浄荒療治。
これで一件落着かというと、上顎洞炎の原因である奥歯の抜歯、インプラントなど苦難の道はまだしばらく続きそうです。
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