2007年11月13日火曜日

御侍史

 「御侍史(おんじし)」という古めかしい敬称をこのごろよく見かけます。高齢の両親をあちこちの病院に連れていくとき、かかりつけの先生が紹介状を書いてくれるのですが、その表書きに添えられているのがこの「・・先生御侍史」です。

 「御侍史」、耳慣れないこの言葉の意味をさぐってみると、どうやら「直接あなたに手紙をお渡しするのはぶしつけなのでお側仕えの人を通して便りを差し上げます」と意味らしい。 「お側仕えの人」が大先生の秘書のことを意味している限りは、古い慣習が残っている医者の世界のこと、門外漢が文句をつける筋合いのことではないのかもしれません。

 しかし現実には、紹介状は患者あるいは患者の家族が紹介先に持参し、診察が終わると今度は紹介元の先生あてに所見などが書き込まれた手紙が託されます。表書きはやはり「・・先生御侍史」。

 よく考えてみると、紹介状を先生に渡すのは患者自身、ということは何のことはない、「侍史」あるいは「お側仕えの人」とは「患者様」であるはずの自分のことだったのか!とムカつきます。

 つい先日も父の目薬のことでA病院とB眼科クリニックのあいだを何度も紹介状をもって往復させられたことがあります。お側仕えどころか私は郵便配達夫か、と腹がたち、2往復目のとき看護師に「私も忙しいのに手紙を届けに何度もいったりきたりできません、なぜメールかファックスでやりとりしていただけないのですか?」と抗議したら即座に「プライバシーの問題がありますから」と言ってよこしました。

 「口は方便」とはよく言ったものです。

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