2001年4月に始まった両親の介護は依然として続いています。最初のころ飲み会の席で、友人の医師に「ひとりで介護に専念するつもり」と話したら、「私の経験ではみんな張り切って介護を始めるけれどだいたい半年で音を上げる」と言われたものです。
それから7年。友人の予測の十倍の歳月が過ぎていつの間にかエンドレスの様相を呈してきました。ただこの生活がいやかといえばそうでもありません。その秘訣は「介護の合間に休息」がふつうであるのに対し、私は「休憩の合間に介護」をしているからだと思っています。
それでも、もともと相性の悪い父とは何もかもが煮詰まって90歳対60歳の心理戦はエスカレートする一方です。
日曜日の夕方、夕飯の支度がいつもより遅くなってしまいました。父が「今日はもう夕飯はいただきましたかな?」とボケ老人を演じて私の怠慢を婉曲に非難。「いやまだ。今日はちょっと胃がムカムカして動けん。胃ガンかも知れん」と父を脅かしてみました。介護人と息子を同時に失う危険性を喚起し、少しは息子に同情せえ、というのが私のメッセージ。
すると父は、背を前に曲げてみせ「こうか?」と言うのです。「ハァ?それどういう意味?」と聞いたら「背中がいがんどる」。オジン・ギャグは可笑しくも腹が立つ!しかも私が子供のころから猫背ぎみでコンプレックスに感じているところを突いてくるなんて・・・
お涙頂戴などまっぴら、あくまで自己中で90年を生きてきた父の芸風にはまたしても完敗でした。
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