長いあいだテレビドラマの不振が続いていましたが「半沢直樹」は驚異的な視聴率をたたきだしました(最終回は関西地区で50%)。
「倍返しだ!」の決めゼリフで陰謀うずまくメガバンクで不正を働く上層部にケンカを挑む主人公はかっこいいです。
私自身は大学図書館という出世競争とか権力抗争とあまり縁のない世界でしか働いた経験がないのでああいうドロドロした人間関係のありようがピンときません。日本の大企業社内ではドラマのようなどなりあいや土下座などという粗暴な行為が日常的に行われているのでしょうか。
銀行といえば30年ほど前ある大手都市銀行の支店長と預金口座の取り扱いをめぐってもめたことがあるのですが、支店長はお客の私に電話で怒鳴り声をあげていました。
ある日支店長から「車を差し向けるからおいでいただきたい」という連絡がありました。私はうかつにそんな車に乗ったら最後大阪湾の埋め立て地に連れて行かれ生き埋めにされるのではないかと本気で心配しました。実際は銀行もいつまでももめるのはよくないという結論に達したのか、二流半のケチな料亭に和解の席が設けられていました……。
どなったりなだめたり手のひらを返すようににこにこしたりよくそんなことが平気でできるものだなあと当時思ったものですが「半沢直樹」を見ていて昔の不愉快な記憶がトラウマのようによみがえってきました。
この作品の雰囲気は原作者の池井戸潤さんが「バブル入行組」の元銀行員ということなのであながちドラマゆえの誇張ではなさそうです。
さて痛快な「半沢直樹」の最終回は意外な結末でした。半沢自身あるいは彼の仲間たちもが半沢の2階級特進を信じていたのに証券子会社への出向が待っていたのです。やはり結末はこうでなくちゃ! 中野渡頭取の采配には徳川300年の太平の世を保証した巧妙な統治論的戦略が見て取れます。お上の不正を直訴、告発したものはごほうびをもらえるどころか彼自身もまた秩序を壊した罪を問われました。
中野渡頭取の顔が何だか徳川家康に見えました。自分の地位と銀行を守るためには理想主義では対処できません。中野渡のリアリズムがドラマに信憑性をもたらしましたね。続編への期待が高まります。
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