春の味覚を求めて岡山市内の料理屋さんを2日連続で2軒訪ねてみました。初日は岡山市北区丸の内の料亭「桜川」で5千円(税別)のおまかせコースをお願いしました。「京の味」と看板に出ていました。
京都で修行したというご主人は京料理の繊細さ、華麗さを岡山の地に持ち帰られた一方、京の店の気位の高さ、敷居の高さは京都に置いてこられたようで、私のようにぱっとしない一見(いちげん)の客にも心を込めて、時にはご亭主自らおもてなししてくれました。ソラマメ、タケノコ、黄ニラなど春の食材が控えめに季節を演出していました。
2日目は桃太郎大通りに面した「アートダイニング武蔵」です。大阪からやってきた若者をお供にやはり5千円(税別)のコースを選びました。ちなみに創業70年のこの店は昔からお昼の炊き合わせ定食が絶品。お腹にやさしい野菜が何種類か鉢にもられてくるのですが、ひとつひとつの野菜が絶妙のハーモニーを奏でます。しかもたったの750円! 一番安いメニューが一番グッドです。
さて、夜のコースは? 先付には酢味噌が添えられたベラタが供されました。春の気配が一気に口に広がります。その後でしたか茶碗蒸しが運ばれてきたとき、しまったと思いました。連れは甲殻類アレルギーがあるのを伝えるのを忘れていたのです。遅ればせながらその旨伝えたところ、「以後のお料理はエビ・カニ抜きにします」とのことでした。
自分の不注意を棚に上げて言うのもなんですが、ここは「すぐ、作り直してお持ちします」と言って欲しかったです。そう言われれば「いえ、お気遣いなく、私が2人前いただきます」などと応じることができたのですが……結局、私が茶碗蒸しを2つ食べ、連れには絶品炊き合わせを2鉢食べてもらいました。
そんなこんなでこの勝負(?)軍配は「桜川」に。いやあ日本人に生まれてよかった、としみじみ思う春の連チャン宴席料理でした。
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