2017年3月8日水曜日

よくなった住宅品質

農地を住宅地に転用するのが簡単になったのか、市街化調整区域のはずの我が家の周囲にも年々4,5軒単位でミニ開発が行われ、敷地は狭いながらも設備のよさそうな家があちこちに建ってきています。
建築基準が厳しくなって耐震、耐火、断熱性能がひと昔前の住宅とは比較にならないぐらいいい家々。こうした高機能の新築住宅ができあがる様子を毎日散歩の途中に見ていると、まもなく新しい家で生活を始める若い家族の幸せな光景が目に浮かぶようです。
終戦直後に生まれた我々団塊世代は、暖房のない部屋でコタツや火鉢で暖を取りながら子供時代を過ごし、大学生になって都会に出ても四畳半の何もない下宿の部屋でインスタントコーヒーとインスタントラーメンで飢えをしのぎ、やがて家庭を持っても住むところはアパート。くじ運のいい場合は公団2DK住宅でした。
公団2DKとは広さ40平方メートルもない延べ床面積に小さな部屋が二つと狭いダイニングキッチン、風呂トイレあり、エレベータなし物件です。こうした家で生まれ育ち巣立っていった団塊ジュニア世代になってようやく現在の高機能・高品質住宅に手が届くようになったというわけです。21世紀を迎えてやっと!
思い起こせば、1972年にドイツを旅して知り合いになった人の家に泊めてもらったとき、住宅の品質の高さには驚嘆しました。窓は木製の枠にペアガラスがはめられ、屋根裏部屋に至るまでスチーム暖房が完備していました。すでに築20年ぐらいの感じがし、その様子から敗戦後、間髪入れず庶民のための高品質住宅が整備されたことがうかがえました。
そんなドイツの家を見て私は両親の家を高機能の家に改修したいと思ったのですが、1970年代の岡山ではペアガラスのサッシなど工務店が扱っておらず、業者も我が父親も断熱の意味など理解しようともしませんでした。また住宅の改修に対し銀行ローンなど存在せず、結局時代が進むのを待つしかありませんでした。
過ぎたことはともかく、欧米に遅れること50年にして、狭いながらも質のいい住宅が普及してきたのは公的住宅ローンの融資条件に住宅の品質が問われるようになったからに他なりません。産業重視で民生を犠牲にして戦後の日本の繁栄があったことがいまさらながら悔やまれます。

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