一人暮らしのわびしい年末年始の孤独をうち破るように年明け早々、和食の店で中学時代の幼なじみ、すまちゃんと会食しました。すまちゃんは長年フランスで舞踏家として名声をほしいままにしてきた芸術家ですが、近年はふる里岡山に本拠地を移して活躍しています。今日は小難しい芸術論なんか忘れて、地酒と岡山の新鮮な魚料理を堪能しました。
中学校を卒業した後は別々の高校、大学に行き、再び交流が始まったのはすでに50歳を過ぎてからのことでした。2001年の3月、パリですまちゃんの舞踏公演がありそれを見にフランスまで出かけたのが再会のきっかけでした。そこからカウントしてもすでに20年近い歳月が流れました。
70歳になった私の生活実感は「老後」そのものです。「老いた後」とは死を待つ日々に他なりません。ところがすまちゃんは女性であるせいか、芸術家として常に創作活動をしているせいか「人生、もうひと花、ふた花咲かせなくちゃ」と元気がいい。酒も料理もどんどんすすみます。
実はこの日、私は会食の約束時間より少し早く店に着いてしまい、時間調整のために隣りの焼鳥屋に入り、食前酒のつもりでグラスワインを引っかけていました。カウンター席の隣にはビールのジョッキを重ねている若者がいて、ふとしたことから話が弾みました。聞くと大学生だそう。
たまたまその学生さんが通っている大学の学長がすまちゃんや私と同じ中学校の同期だったので、私はそんな話もついしゃべってしまいました。そうこうしているうちにすまちゃんから店に着いたという電話があり、若者との楽しい会話を切り上げレジに向かいました。正月気分もあり学生さんの飲み代もいっしょに払って焼鳥屋をあとにしました。
家に帰ってパソコンを開いたら学生さんから丁寧なお礼のメールがきていました。名前が書いてあったので興味本位で学生さんのツィッターも覗いてみました。そこには私にくれたメールの口調と異なり仲間内あてにこんなことが書かれていました。
「今日、焼鳥屋でビールを飲んでいたら学長の同窓生というおじいさんが全奢りしてくれた。あざっす!」私の中ではすまちゃんも学長先生もみんな昭和時代の中学生のままなのに、正真正銘の若者から見ると単なるじいさん、ばあさんなのです。悲しいことですが仕方ありません。
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