6月中旬に奈良を訪れ、その際に近鉄西ノ京駅のプラットホームで元総理大臣Hさんが護衛もなく電車を待っているのを至近距離から目撃した話をこのコラムでご紹介しました。日本は何て安全な国だろうというコメントとともに。Hさんとはもちろん細川護煕元首相のことです。
それからひと月もしないうちに同じく近鉄大和西大寺駅駅頭の広場で参院選の応援演説をしていた安倍元首相が手製の銃で暗殺されるという前代未聞の惨劇事件の報道に日本だけでなく世界中の人々が接することになりました。その日、私はラジオでNHKニュースを聞いていたのですが、何が起きたのか要領を得ない報道に、どうか一命だけは取り留めてほしいと願ったものです。しかしまことに残念な結果に終わりました。
今回の事件で多くの識者から指摘されていることは要人警護の拙さ、異常事態発生時の対応の悪さです。たしかに演説をする元首相の背後すれすれのところを車や自転車がすいすい通っているという何とも異様な光景が繰り返し放映されていて、素人目にもあの警護のやり方はないだろうという気がしました。
対照的に同じ元総理大臣だった細川さんがリュックサックを背負って一人で近鉄電車に乗っていたのはあらためてあれは何だったのか考えてみました。要人警護の決まりとして首相経験者には終生SPが一人付くらしいです。ところが現在、村山富市さんと細川護煕さんのお二方は「煩わしい」との理由で警護を断っているそうです。
細川さんご自身、新宿のホテルで銃撃された経験がおありだそうですが、政界を引退した後は陶芸や絵画に才能を発揮し、今回のようなきな臭い事件のターゲットになる心配はあまりないのでしょう。村山さんが率いていた社民党はもはや風前の灯火状態で村山さん自身98歳という超高齢者となった現在、お二人とも政治的には「終わった人」故に勝ち得た平穏な生活だと思います。
それに反してモリカケ、桜の決着もなかばうやむやなまま、しかもひょっとすると3度目の復活だってありえた実力者の安倍さんの場合、身辺警護は最高のレベルで対処することが求められていたはずです。警戒を緩めてもかまわないのは村山さん、細川さんレベルになってからでも遅くなかった、と残念でなりません。
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