10月中旬に広島まで1泊旅行した話の続きです。翌朝は秋晴れの気持ちいい日でした。広島と言えば「安芸の宮島」は外せません。とりわけ世界遺産に登録されたあとの宮島が今どうなっているのか見てみたい気がし、ホテル前の電停から広電の宮島口行きの電車に乗りました。
2両編成の路面電車は今どき珍しい車掌が乗務しており乗客の乗り降りの案内、切符やカードの販売からチャージまであれこれ手助けしていました。運転士は安全運転に気持ちを集中できるし、車掌の存在理由は絶大です。沿線には女子校もあり車内の治安にとっても広電は最高にスタイリッシュで贅沢なサービスを提供していると言えます。
宮島は京都や奈良と同様、修学旅行の生徒と外国人観光客がとくに目立ちました。ちょうど干潮で海の中に屹立する大鳥居を間近に見ることができました。厳島神社と言えば平清盛が作ったものとばかり思っていたのですが、ちょっと調べてみると実は推古天皇元年(593年)に地方豪族の佐伯氏が創建したものだとか。その時代からずっと存在し続け、今や世界中から観光客を集めているのですから本当にすごいものです。
水族館に続く道の途中に落ち着いた喫茶店があり立ち寄ってみました。店内では白人の若いカップルが静かにコーヒーを飲んでいます。ほかにお客はいません。こんなときどこから来たのか聞かないではいられないのが私の性分。「えっ」という顔をしながらも「スイスのジュネーブからです」と答えてくれました。
私は待ってましたとばかり、質問を英語からフランス語に切り替え、いろいろ聞いてみました。日本にはもう5回来ている、日本は何を食べてもおいしい、滞在期間は2週間、自転車で旅行していて、今治から尾道までしまなみ海道を4日間かけて渡ってきた、電動アシストではなくふつうの自転車。きょうはこれから弥山に登るところだ…。近年こうしたdeepな旅人が増えてますね。
彼らが登山に出発するのを「マムシに気を付けて」などと見送ったあと、私は広島市内まで、今度はスピードの速いJRの電車で戻り、ひろしま美術館で開催中のブリヂストン美術館展(12月16日まで無休)を堪能しました。短い滞在時間でしたがいろんな出会いと新発見があった楽しい広島、宮島旅行でした。
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