2019年4月10日水曜日

平成最後の「東京物語」

もう何か月も前から予定されていたライブコンサートを聞きに東京へ行く日の朝がきました。23日の小旅行ですが、こういうときにありがたいのが往復航空運賃とホテル代がパックになった旅行会社の企画商品です。東京での滞在時間を最大限にするために帰りの便を遅いものにしたので値段が少し上がって、それでもトータルで36千円でした。自分で手配すると最低でも5万円は下りません。
せっかく東京に行くのだからふだん疎遠にしている甥っ子と姪に会っておこうと思います。彼らも自分たちの仕事と生活に忙しいだろうし、こちらもしだいに外出がおっくうになってくる年齢です。まるで小津安二郎の名画「東京物語」(1953)のような話です。映画では、尾道から老夫婦が長男や長女が暮らしている東京へ出かけたものの、忙しい実の息子や娘には煙たがられ、ただ一人、亡くなった次男の嫁「紀子」だけがやさしく義父母を気遣います。伝説の女優、原節子がいかに美しかったことか!今でもYouTubeで鮮明な白黒映像を見るたびに感動します。
「東京物語」の時代背景は戦後の高度成長期が始まるころの話ですが、現在のような安価で清潔なホテルなど皆無でした。たいていは親戚の家にやっかいになるのが相場で、泊めてもらう方もお迎えする方も大変でした。せっかくの親族の再会もぎすぎす針のむしろ状態になるのが常。「東京物語」の老夫婦も今の時代だったら、そこそこのホテルに滞在し、息子や娘とはいっしょに食事するぐらいにしておけば、快適な「東京物語」となったことでしょう。
私も甥や姪とはそのような形で会う予定です。この春小学校に入学したばかりの娘を持つ姪は専業主婦で、たまたま早稲田大学のすぐ近くに住んでいるというので、姪とは大隈講堂前で落ち合って、青春時代がなつかしい早大キャンパスを散策してみたいと思います。姪っ子に電話で「キャンパス内のリーガロイヤルホテルでカレーライスぐらいおごってあげるよ」と言ったら「うれしい!」と言うような素朴な子です。
   それにしてもまもなく空港へ出かけなければならないのに、昨夜来から大変な春の嵐です。おまけに強烈な花冷え。満開の桜が風雨に当たって落ちるぐらいならいいのですが、飛行機は大丈夫かなあと心配です。

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