2020年7月27日月曜日

DIY鳩避けネットの設置

空き家同然になっているマンションのベランダがここ数年鳩の格好の住処になっていました。鳩のカップルはエアコン室外機2台と壁の隙間にマイホームを作り、年2回ぐらい子育てをしています。鳩にも生きる権利があるので、私自身はなるべく気にしないようにしてきたのですが、私の部屋直下に専用駐車スペースがある住人から何度か強い調子のクレームを頂きました。車のボンネットに糞が落ちるので対策しろと。
苦情というものは言う方も勇気と覚悟が要るものですが、言われたら言われたで、(言う人の気持ちも分からないではないけれど)、「コンチクショウ!」と思うものです。しかも敵は直接文句を言うだけでは飽きたらず管理会社を巻き込んで圧力をかけてきます。「仕方ない、何とかしよう」。最初は手すりの上にテグスを張り、室外機の上にはプラスチック製の剣山を置いてみました。しかしこれらの効果はまことに限定的で、頭のいい鳩にはほとんど効き目がありません。
やはりベランダ全体を覆うネットを設置するしかない、と覚悟を決め23業者の話を聞いてみたら最低でも数万円かかるとのことでした。それに業者に来てもらうためには家の片づけも大変なので、結局自分でネットを取り付けることにしました。DIYDo-it-yourselfです。
「止めとけ、落ちる!」というのが友人たちの忠告でした。実際、ベランダの手すりとほぼ同じ高さの脚立に乗らないと上の階のベランダ天井に手が届きません。3階と言えども脚立の上に立つと頭はクラクラ。おまけにベランダの床は排水のために微妙に傾斜していて脚立は常にぐらつきます。それでも50センチ置きにネット取り付け用のフックを接着剤で固定していき、後日また脚立に登ってネットを掛けました。
少々たるんでいるけれどなかなかいい感じに仕上がり、それまでどうしても鳩の知恵に勝てなかった闘いについに勝利しました。今までチャチな対策をしては鳩と目が合い、鳩が苦労して作った巣を撤去するたびに鳩の恨みを買ってきた罪悪感から私自身が解放されたのが一番の収穫です。
かかった費用は材料費のみで、総計1万円以下でした。但しこれは皆様にはお薦めできません。私のようにベランダから落ちて人生が終わっても悔いのない人なら別ですが。

2020年7月17日金曜日

迷走GoToトラベル

GoToトラベルキャンペーン直前になって、東京在住者(出発、目的地?)は除外、またウイルスを撒き散らすであろう若者と重症化しやすい年寄りも対象外とか。すでに旅行代金を支払い済みでキャンセル料がかかる人にとって、今になって旅行を取り止める場合、キャンセル料の免除措置はあるのでしょうか?

そもそも「コロナが収束した後に実施」の前提を無視してキャンペーンをごり押しすることの無謀さには呆れてしまいます。(実は老人である自分もホテル代軽減を狙っていました(^^;)

2020年7月15日水曜日

訳の分からないGo to キャンペーンよりも消費税、ガソリン税減税を

7月になって新型コロナウイルス感染症の第2波が首都圏を中心に第1波をしのぐ勢いで拡大しています。岡山県でもぽつぽつ新規感染例が報告され、この病気はなかなか一筋縄ではいかないしぶとさを見せつけています。そんな状況のなか政府は“Go to キャンペーン”なるものを都道府県の反対にも関わらず繰り広げようとしています。
伝えられるところによると、Go to キャンペーンには、Go to Travel キャンペーン、Go to EatGo to EventGo to 商店街の4種類があるとか。今また4月、5月の悪夢が再来しつつあるこのタイミングで、「観光旅行に出かけろ、はでに飲み食いしろ、お祭り騒ぎをし、商店街を練り歩け」というのですから驚きです。しかも最大半額は国民から巻き上げた税金で補填してあげますという途方もない政策。
お金の使い道がナンセンスなだけでなく、ネーミングがこれまた和洋折衷なうえ、“campaign”の綴りが難しいためかカタカナ表記という、いかにも頭のいいお役人様が(彼らがバカにしている)国民の受け狙いで、無い知恵をしぼったとしか思えないお寒いものです。
いったい日本はどうなったのでしょう?コロナ対策だけに限っても日本のやり方は一流先進国のそれではありませんでした。極端に少ないPCR検査、ちまたにあふれるようになってから配られたアベノマスク、気が遠くなるほど時間がかかった10万円一律支給。こうした国の政策に翻弄された一番の被害者は国民であることは言うまでもなく、医療現場や国の下請けで忙殺された自治体の職員の方々も相当ダメージを受けたことと思います。
政府が緊急にやるべきことは、「歌え、踊れ、遊べ、何度でも、心ゆくまで!」と号令をかけることではなく、一時的でも消費税を下げる(あるいは停止する)こと、ガソリン税のうち“暫定”と言いながら1974年以来(ほんのわずかな期間を除き)取り続けている暫定税率25.1円を廃止することではないかと思います。こうすれば消費はゆっくりと、しかし確実に回復し、国民は気が向いたらちょっと遠出して、温泉にでも浸かり、おいしいものを食べ、コロナ疲れを癒そうという気分に、自然になれると信じます。

2020年7月8日水曜日

マグカップ

実家の庭がいつのまにかドクダミに占拠されてしまいました。ドクダミのにおいが強烈過ぎるためか、かれんな白い花をつけるドクダミを愛でる人は少ないようです。そんなドクダミの姿を終生変わることなく焼き物のモチーフに描いた女流陶芸作家が牛窓にいました。
東海林由紀さん。1968年の4月、早稲田の教育心理学教室に入ったとき以来の長い交流でした。40数名のクラスメートのなかでひときわ聡明で芯の強い女性でした。卒業後は私は大阪で就職し、彼女は心理学とはおよそ縁のない陶芸の修行を始めました。そして、どのような縁があったのか岡山出身の陶芸家と結婚し、牛窓に工房を持ち、「青空」という喫茶店の経営と陶芸家の生活を両立させてきました。
私が大阪での仕事を辞めて両親の介護のために2001年に岡山に帰ってから数年の間、彼女が淹れるコーヒーを求めて本当によく牛窓まで車を走らせたものです。ある時、陶芸家としての彼女に、マグカップを作ってくれるよう依頼したことがあります。若いころオーストラリアのタスマニア島で見かけて買ったお気に入りのマグカップが壊れてしまい、東海林さんに壊れたカップを渡し、「こんな感じのものを作って」とお願いしたのです。
それから23年後、彼女は生まれ故郷の岩手県一関に引っ越してしまいました。そして東北大震災の前年、ドクダミの白い花が咲く頃、突然の彼女の訃報を聞きました。そして10年の歳月が流れました。依頼したままのマグカップのこともすっかり忘れてしまいました。
ところが今年も庭のドクダミの白い花が咲く頃、「青空」の店舗を引き継いだ「てれやカフェ」に行ったところ、マスターから「マグカップを預かっています」と言われてびっくりしました。牛窓在住の東海林さんの陶器の愛好家がドクダミのデザインが施されたマグカップを店を通じて私にくださったのです。驚きです。東海林さんは私がデザインを依頼したマグカップを一関に帰るまえのあわただしい時期に作ってくれていたことを知って感無量でした。

学友にして生涯の友人だった由紀さんが逝ってちょうど10年。たっぷりコーヒーをそそげる清楚なマグカップはついに私の元に届きました。不思議な縁があるものです。



2020年7月1日水曜日

山田ねずみ大根

冬の食卓を代表する野菜のひとつに大根があります。もともとは地中海沿岸地方が原産とのことですが、なぜか極東の果ての日本で大根は民衆からこよなく愛され、他国では考えられないほど大きさ、色形もさまざまな品種が育成されました。圧巻は重さ30キロにもなる桜島大根と長さ2メートル近くまで伸びる守口大根です。ともに同じ大根とは信じられないほどマニアックな野菜をよくぞ作り出したものだ、と昔の人の研究熱心さに驚かされます。
日本には上記2種ほどユニークではないにしても、全国各地に特有の固有種があり、なかでも私が毎年作っている品種に「山田ねずみ大根」という滋賀県特産の真っ白で小振りな大根があります。山田ねずみの特徴はお尻がきゅっと締まり、まるでネズミのしっぽのように主根がピンと飛び出しているからです。肉質は緻密で柔らかく、また葉っぱも棘がなくすべすべして煮食いに最適。
そして何と言っても、市販の大根が現代の少人数家庭の食生活にマッチしないどでかい代物であるのに対し、山田ねずみは独り者でも食べきるのにちょうどいい大きさなのです。
しかも、こうした特産大根は種苗商や研究施設で改良された交配種と違い、固定種と呼ばれ、自分で種を採って蒔くことができます。私は今まで大根の種を自家採取した経験はなかったのですが、この春はコロナ騒動で畑に行かないうちに山田ねずみ大根に花が咲き、5月の末には大量の種ができてしまいました。
9月になり自宅の狭い菜園で大根を作るのに必要な種はせいぜい100粒で十分、しかしせっかくここまで命を長らえた種を捨てるのはかわいそう、そしていちいち鞘から種を取りだしました。約2デシリットルもの山田ねずみ大根の種の収穫です。
 とはいえ、いくら何でもこんなにも大量の種は個人ではどうしようもなく考えあぐねていたら、岡山大学で有用植物を研究されている方からいいアドバイスをいただきました。大根の種はライフクシという生薬になるそうです。消化を助け、おなかをスッキリ整えるとか。これなら大根の種が大量にあってもちゃんと命を大切にいただくことになります。

 コロナがどうもすっきり収まらないままもう7月になりました。はや後半です。そして8月下旬にはまた大根の種蒔きの準備が始まります。