私が住んでいる田舎の集落では、毎年4月最初の日曜日は地域内の側溝と用水路の大掃除をする日と決まっています。各家庭からひとりは参加しなければならないというのが習わしで、もし共同作業に出られないのなら3千円の罰金みたいなものを支払わなければなりません。
地域でやや浮いているなという自覚症状がある私は毎年この時期が近づくと「めんどくさいなあ」という気持ちになります。けれども「村の掟じゃあ」という声がどこからともなく聞こえてくるので、うっかりこの日を忘れて花見なんかに出かけるわけにはいきません。いろいろな疑問があるのですが、隣近所とのつきあい、しきたり、行事に関して「言挙げ」は最大のタブーです。いや言挙げがタブーなのは何も田舎の隣組だけの話ではありません。
コロナ対策・指導を取り仕切る総本山の厚労省においてさえ、課長が「飲み会やるぞー」と呼びかけたら、だれも「そんな非常識なことは止めましょう」との声を挙げず、課内20人以上のインテリ高級官僚が深夜まで居酒屋で大宴会にうち興じるのが日本という国のお国柄です。
話が脱線しましたが、私が感じる疑問は次のようなものです。(1)罰金の3千円を徴収する根拠とその使い道。(2)重労働であること。用水路からヘドロをすくい上げ、一輪車に乗せて集積所まで運び、さらにそれをスコップでダンプカーに積み込む一連の作業。これは若者にとってもきつい作業ですが、メンバーの中に若者なんて一人もいません。平均年齢75歳ぐらいの年寄りしか出てきません。もはや限界に近いと思うのですが、たぶん来年も再来年も同じことが繰り返されるでしょう。
とはいえ、下水道のないこの地域では我が家の生活排水もその用水路に流れていくので、体力が続く限り参加することはやぶさかではありません。おまけに今時こんな田舎でもふだん隣近所の人々と話をする機会はほとんどなく、年1回のどぶ掃除がお互いの安否情報を交換する唯一のチャンスです。ご近所の人々に「元気でやってますよ」とアピールしておくことも大切なことです。
和気藹々、2時間ほどでヘドロを片づけたら、ごほうびにペットボトル入りのお茶の配給があります。ムラ人としての義務を今年も立派に果たした証拠物件のお茶です。
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