NHKの“ことばおじさん”(梅津正樹アナ)ではないけれど世の中には気になる言葉がいっぱいあります。しかし気になるからといって必ずしもそれらが間違いかというとそうでもなかったり、単なる世代間の感覚の相違だったりで、自称“田舎・ことばおじさん”の悩みは尽きません。2,3例示してみます。
1.繋ぐ(つな)ぐ、繋げる
高校野球のインタビューなどでよく耳にするのが、「繋ぐ、繋げる」です。「今日の勝利を明日の試合に繋げたい」と勝ったチームの主将はほぼ例外なく同じセリフで答えていますが、とにかく中・高校生スポーツマンは繋ぐのが大好き。「きょうの試合に勝てたことがうれしい、明日もがんばります」などと言うのは幼稚でかっこ悪いのでしょうか。
2.(勇気を)与える
これもスポーツインタビューでよく聞く言葉です。「自分がサッカー(野球、ゴルフ…)で活躍することで被災者に勇気と感動を与えたい」などというのを聞くたびに「与える」とは一体何事ぞ、お前は何様のつもりか、と田舎・ことばおじさんのアンテナがぴくぴくします。もちろん「勇気を与える」と言っている人に悪気はないのですが、その言葉に高いところから人を見下しているニュアンスや押しつけがましさを感じないのでしょうか?
広辞苑によれば「与う」とは「①自分のものを他人に渡してその人のものとする。やる。②(影響・効果などを)受けさせる。蒙らせる」となっています。ありていに言えば「犬に餌をやる」の「やる」です。
ではお前ならこんな場合どう言うのか? と問われればこれがまた簡単じゃない。そもそも「与える」という言葉に対応する尊敬語、ていねい語は存在しないのではないか? もしそうだとしたら「勇気を与える」に代わる適切な表現・言い回しを見つけなければなりません。
そんなおりふと美しい言葉がテレビから聞こえてきました。被災地で家族も生活の場も何もかも失った人に向かってその若者は言いました。「勇気や希望をもっていただけたらと思います」と。
スポーツ選手だったか地場産業の経営者だったかよく覚えていませんが、「願わくば被災地の方々のお役に立ちたい」という謙虚な言葉におじさんはとても感動しました。
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