2013年1月17日木曜日

電線の地中化

 
 安倍政権になってあらたな経済対策が次々と打ち出され金融市場は歓迎ムードです。それらの政策のなかで7日に発表された緊急経済対策のなかに注目すべき項目がありました。

「電線の地中化」です。今までも都市中心部や観光地を中心に遅々としたペースながら地中化がすすめられてきましたが、国家目標と取り上げられたからには少しはペースが上がるのではないかと期待します。

1970年代の始め、ヨーロッパを2ヶ月かけてゆっくり旅したことがあります。そのときヨーロッパと日本が決定的に違うなと感じたことが3つありました。

ひとつはトイレ。当時は東京区部でも水洗化率が低く、私が下宿していた練馬区や板橋区のアパートは悲惨でした。しかしトイレ事情に関していえばその後ウォシュレットの発明や下水道、合併浄化槽の設置がすすみ、いまや日本は世界一のトイレ先進国になりました。

2番目は窓ガラスの複層化。ドイツ以北は窓ガラスを2重にし家屋を徹底した断熱構造にするのが常識でした。フランスやイタリアなどは日本と同じく薄いガラス1枚で冬をしのいでいたように思いますが、90年代までにフランスなどでも窓ガラスがよくなりました。

我が家でも70年代に家を増築するに当たり何とか窓ガラスを2重化できないかいろいろ建材資料を調べたのですが、岡山では非常にコストがかかるのと業者さんに高機能窓ガラスに対する認識がなかったので話がまとまりませんでした。しかし住宅の省エネ断熱化は国の住宅金融政策によって今では様変わりです。新婚家庭向けのミニ開発されたかわいらしい住宅のサッシでも100パーセント複層ガラスが入っています。

そして残念なのがいまだ日本の美しい景観を決定的に損ねているのが電柱の存在。最近、倉敷の美観地区の電線地中化がほぼ完了したというニュースを見て現地に行ってみました。蜘蛛の巣のように空中でからんでいた電線や電柱が取り払われ、すっきりした町並みに石灯籠風の街灯がとてもよく似合っています。

倉敷の美観地区のような狭いエリアでさえ電柱撤去になぜ長い歳月が必要であったかというと、トイレや窓ガラスと異なり国の明確な政策がなかったからに他なりません。防災の観点からもまさに緊急課題です。

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