読者の皆様、家庭用医療器具のひとつにパルスオキシメーターというものがあるのをご存知でしょうか。洗濯ばさみの親玉みたいな形をしていて、指先をはさむとたちどころに血中の飽和酸素濃度(SpO2)がパーセントで表示される機械です。値段は2万円から4万円ぐらい。インターネット通販ではいろんな機種が売られています。
寝たきりで気管切開している母を在宅で介護している私にとってこの小さな機械は母の異変をごく初期にキャッチするための最大の武器としてこれまで何度も母の命を救ってくれました。
ふだん97%以上あるSpO2値が95%くらいしか上がらなくなると最初の黄色信号です。痰を取っても93%以下に落ちてくるともう完全に赤信号で、肺炎などの呼吸器疾患を起こしていることが疑われます。
正月明け、寝たきりとはいえ病気ひとつしないで自宅で過ごしてきた母のSpO2が下がり始め、私はすぐ主治医に連絡しました。医師はしばらく様子をみましょうと電話でアドバイスしてくれたのですが、1日でも様子見で時間を費やすと手遅れになってしまうことをこれまで経験的に知っているので、(主治医の意向を無視し)母をすぐ病院へ自分の車に乗せて連れていきました。検査の結果、インフルエンザに感染していることが判明し即入院のうえ治療を開始しました。
発症直後(48時間以内)に適切な治療を受けた場合、薬の効果も高いそうです。感染症に限らず、高齢者の異変は幼児の場合と同じで時間との勝負であることが多く、体温、脈、呼吸がいつもと違い、しかもSpO2が低下していれば、もうあれこれ悩まず、病院へ連れていくべきだと思います。
人間が死ぬ直接の原因は餓死、凍死、窒息といいます。この中でも窒息が一番苦しい死に方ではないでしょうか。肺炎は肺から酸素が十分取り込めなくなる一種の窒息ですが、認知症を起こしている高齢者の場合、高熱がでない場合もあり、肺が十分機能しているかどうかは周囲には分かりづらく、そういう意味でもパルスオキシメーターの威力は大です。
また名前の由来どおりこの機械は脈拍も正確に測定してくれます。やや高い商品ですが、1家に1台欲しいすぐれものです。
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