2018年7月3日火曜日

岡山駅前の桃どろぼう事件に思う

 お昼のローカルニュースで岡山駅前の緑地に植えられている桃の木から桃の実1個を盗んだとしてベトナム人青年が逮捕されと伝えていました。警察は同じ場所で桃の実が300個盗まれた事件との関連を調べているそうです。
 私はこのニュースを聞いて、中学生時代に国語か道徳の教材にあった長野県飯田市のリンゴ並木の話を思い出しました。1947(昭和22)、市街地の大半を焼き尽くす飯田大火に襲われた市は防火帯の機能を備えた延長1200メートル、幅員30メートルの道路を整備、中央分離帯には飯田東中学校の生徒がリンゴの苗木40本を植え、生徒達の世話によって毎年りっぱなリンゴがたわわに実る立派な並木道ができたという話です。
 教材のポイントはせっかく実った実が盗難にあうのにも関わらず生徒たちや市民の努力でリンゴ並木が守られているうちに市民の道徳心も育ち盗難事件が減ってきたという点にあったように記憶しています。実際のところは現在でも盗難はあるようですが、ニュースになるようなことではないようです。終戦直後に比べ今の時代、リンゴの消費は低迷し、わざわざ排気ガスにまみれた街路樹のリンゴの実など取っていく人は多くはないでしょう。
 岡山駅前の桃の実盗難事件をあらためて考えてみると、駅の緑地に地元商工会議所の女性グループが桃の木を植えて育てているそうですが、そんなオープンな場所にある桃の実が盗まれたからといって警察に被害届なんか出すことの方がそもそもおかしい気がします。4月、桃の木に花が咲くのを市民や旅行者に楽しんでもらえればそれで十分では? 公開緑地で実った桃の実1個を失敬したからといって即逮捕されるのなら、市民や子どもたち、訪日旅行者たちが実をつけた桃の木に興味をもっても、李下に冠を正さずではないですが、木に近づくことさえはばかられます。女性会は立派なことをしているといい気になっているけれど、却って不必要な犯罪を自分たちが誘発していることに罪の意識をもつべきです。

 桃の実はブルーベリーやイチジクと違い、品種ごとにいっせいに熟し収穫適期は1週間もありません。もし盗まれるのがいやなら女性会会員が徹夜で番をすればいいだけのこと。ゴリゴリの状態から熟れるまでほんのわずかな日数です。商工会議所女性会はそんなことよりも飯田市のように、少々とられたからといって大騒ぎなどしない態度を見習い、長い目で桃を紹介する本来の目的のためにがんばっていただきたいと思います。

(岡山駅前緑地と桃の木を指差す商工会議所女性会会長)そもそもこの緑地の管理者はだれなのでしょう?JR西日本?岡山市?少なくとも岡山商工会議所が占有しているとは思えないのに、会議所からの被害届が受理される理
屈が分かりません。

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