2019年6月26日水曜日

“げし”のフキ

 “げし”というのは私が住んでいる岡山市西部あたりでかつて使われていた方言だと思います。段々畑の斜面の部分のことです。我が家にも隣家との境界をなす高さ3メートルx10メートルほどのげしがあり、ありとあらゆる動植物が何十年と変わることなく豊穣な生を営んでいます。斜面ゆえに水はけがよく、人に踏まれないので土はいつもふかふかでミミズがいっぱい。そこで育つ植物はとても健康でのびのびしています。
 長いスパンで観察しているとその豊かな土地を争って植物同士の栄枯盛衰もあります。ここ数年いちばん勢力範囲を拡大しているのはミョウガで、夏から秋口に大量のミョウガが収穫できます。ラッキョウの原種も何か所かコロニーを作っています。昔の農家の人はラッキョウを栽培するとき、このようなげしに生えている原種を掘り取ってひとつひとつにばらして畑に定植したものです。
 フキ(蕗)もげしが大好きな植物です。子どものころ母から「フキをとってきて」と言われると「はーい」と返事してげしのフキを切り取って台所へ届けたものです。ところが一昨年ごろからフキがミョウガ軍団に負けたのか、気がついたら絶滅状態になっていました。母との思い出が詰まっているフキが庭先から消えてしまうのはとても残念なので、この春フキ復活作戦を試みました。
 ホームセンターに行くとたしかにヤマブキの根が売られていましたが、頼りないぐらい細い根で買う気にならず、結局倉敷の従姉妹の家から株分けしてもらいました。たくさんもらったので半分は普通の畑に植え付け、残りをげしに植えました。そのとき30センチほど離れた場所にクローバーの葉ほどの大きさの植物が芽を出していました。絶滅したと思っていたフキの赤ちゃんでした。
 そして6月も終わりになりげしを見ると従姉妹からもらったフキはミョウガに混じって元気いっぱいに育ち、フキの赤ちゃんも立派なフキに成長しました。我が家の100年越しのフキが絶滅寸前になりながらも生き延びることに成功したのです。ともに畑に植えたフキよりはるかにみずみずしくのびのびとしています。
元来豊かな植生を支えてきた里山のげしは、近年防災と土地の有効利用のため、どんどんコンクリートで固められ、不毛の空間になってきています。残念なことです。

(“げし”の様子)
橙色のつぼみが着いているユリは正月用のユリ根を食べ損ねたものを植えました。ユリ(おそらくコオニユリ)。「谷間の百合」(バルザック)ではないですが、こういう斜面が好きな植物です。画面上部のよく育っているフキは従姉妹から分けてもらったもの。画面中央のフキが春にクローバーの葉ほどの大きさだった株。手前の株はもともとこの斜面に生えていた株ですが、30年ほど前に田んぼに移植し、そこで暮らしていたものです。今年の春、田んぼから家に持ち帰り、畑に植えたのですが生育が悪く、梅雨入りの本日(6月27日)もともとの住処であるこの“げし”に戻しました。手前やや左寄りのひも状の植物が上記の原種ラッキョウです。



2019/6/28、台風一過上京する日の朝、コオニユリ開花


2019年6月25日火曜日

大納言小豆栽培

アズキやササゲは高温が好きな豆科植物です。父が昔、「アズキの種まきは7月に1日でもかかっていればよい」と言ってました。つまり7月31日に種まきしても晩秋にはちゃんと収穫できるという意味です。実際、兵庫県の農林試験場などの報告を見ると、早植えするより7月の終わりに種をまく方が収量が増えると記述しています。
小豆は大豆と異なり大きな美しい花を咲かせます。




2019年6月23日日曜日

もしかして大腿骨骨頭に異変?

牛窓の畑で農作業していたら突然豪雨になり、農機具小屋で雨宿り。雨が上がって畑から下の畦道に続く坂に足を踏み出したらずるっと滑り腰の辺りを強打しました。10日前のことです。びっくりしたけど特に外傷もなく、普通に生活していたのですが、昨日急に腰骨の左付近に痛みが出て、ドラッグストアーで湿布を買って張り付けて寝ました。けさは痛みが引いたようです。
左大腿骨骨頭部に内軟骨腫があり、整形外科の先生から、転倒には気をつけてと言われているので、そこにひびでも入っていたら大変。週明けに整形外科に行くべきか思案どころです。
牛窓へは自宅で育苗中の大豆の苗を植えに行かなけばならないし、週末には2泊で上京することになっていて、とにかく何事もなく日々暮らしたいのに、人生には思いがけないワナがあるものです。

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その後、牛窓で大豆の植え付けをしたところ、腰の痛みは消えました。さらにこの何年間か足の浮腫で正座ができなかったのが、大豆の苗を植えるために畑に膝をつくのですが、そのままお尻を落としたら正座ができました。畑のきつい作業のおかげで、体の水分が抜けて浮腫が改善したようです。脱水症状には気を付けないと。



2019年6月19日水曜日

令和時代最初の大地震

 日本に住んでいる限り地震と水害の2大自然災害から免れることはできません。しばらく地震がないと思っていたら618日の夜、新潟・山形を中心に震度6強の地震があり、テレビは各局とも通常番組を打ち切って地震特番に切り替えました。
 テレ朝の報道ステーションでは富川アナが「津波は予報よりはるかに大きなものがやってくることがあります。東日本大震災のときは3メートルの津波予報に対し実際は10メートルを超える津波がきました」と繰り返し避難を勧めていました。
 しかし、人間はいくら避難勧告や避難指示が出ても簡単には実際の行動に移せるものではないことは昨年の7月豪雨の例を持ち出すまでもありません。なぜ逃げないのか?それは多くの場合、避難勧告や避難指示が出た場合でも後になって振り返ってみると大したことにはならなかったことが多いし、深夜に避難することに大きなリスクを伴うからです。
 ちなみに今回の新潟地震による被害は震度6強の規模であったのにもかかわらず、家屋が倒壊したり死者が出ることもなかったのは奇跡に近いことだと思います。ネット記事によくある中国人などのコメントを読んでいると、「こんな大地震がきても倒れない日本の住宅はいったいどうなっているのか?」という称賛にあふれています。しかしもし今回の地震で1か所でも震度7を記録していたら被害の甚大さは途方もないものになっていたはずで、富川アナが「津波が来る、逃げろ」と絶叫していたのも無理ありません。
 巨大地震による直接的な被害は建物の倒壊による圧死や落下物の直撃を受けることです。でもこれは気付いた時にはすでに被害は起きてしまっているのでどうしようもない。しかし津波や大型台風、河川の増水氾濫はある程度予測がつき、適切な避難勧告が出た場合、前もって用意されている安全な場所に逃げれば助かる可能性はぐっと上がるでしょう。
 今回の新潟地震は令和時代になって初めての大地震でしたが、何といっても本命はいつ発生してもおかしくないと言われている南海トラフ地震です。近年、阪神淡路大震災、東北大地震、熊本地震、鳥取県中部地震、大阪府北部地震とつらい体験をしてきた日本ですが、当面の最後の大地震は来るのが分かっているのですから、賢く対処したいものです。

2019年6月14日金曜日

蛇の交尾目撃

昨日は気持ちのいい晴天で、庭先で育苗中の黒大豆の世話をしていたら、隣との境界になっているゴソの木陰から突然、何かが暴れのたうつ気配がしました。とっさに「隣の○ソババがまた境界線を削りにきている!」と思ったのですが、よく見ると草むらで巨大なアオダイショウが2匹絡んで暴れていました。

最初、何のことか分かりませんでしたが、すぐに交尾しているところに違いないと思いました。おぞましくも恐ろしい光景でした。
とにかくこちらに来るのは阻止しようと、水道のホースから水を勢いよくかけたら分離しました。

蛇は苦手です。トラウマになりそうです。ところが、後でネットで調べたら、蛇の交尾(の夢)を見たら金運アップという、吉相らしい!でも水をかけて強制分離させたから金運ダウンかも。

今年はコンニャクの花が咲いたり、蛇の交尾を目撃したり、70年の人生で初めて経験することが続きます。南海トラフ巨大地震がすぐそこまで来ている前兆でしょうか?

2019年6月12日水曜日

選挙投票にITの活用を

6月は株主総会のシーズンです。毎年この季節になると連日郵便受けに分厚い封書が届きます。それらは決まって株主総会への出席案内状で、議決権行使書も同封されています。
最低単元の株主の意向など議決結果に何の影響も及ぼさないし、記入済みのハガキを返送するのもめんどうなので、これまで大体はちらっと見て封筒ごとゴミ箱にポイでした。
しかしよくよく見たら、郵送、ウェブサイトだけでなくスマホでも議決権を行使できると書いてあり、ものは試しでQRコードを読み取ってみました。驚きました。ユーザーIDもパスワードも不要で、各議案項目の賛否表示欄にチェックしOKしたら即議決権の行使ができました。これは便利!と大変感心して他の会社のものもチェックしたら今やどの社もこの方式が可能になっていました。
いったい何年前からこんなオプションが用意されていたのか知りませんが、IT社会のプラスの側面を思い知らされた感じがしました。そしてこれは国民に大きな負担をかけている国会議員や地方議会選挙にぜひ取り入れるべきだと思いました。もちろん株主総会の議決よりはるかに厳格に不正投票を防止する手段を講じなければなりませんが投票の仕組みは同じようなものでしょう。有権者は届いた投票用紙に印刷されているQRコードをスマホで読み取り投票するだけ。マイナンバーの記入ぐらいは必要かもしれませんが、投票所に出向いての投票に比べると若年層の棄権は劇的に改善するはずです。
株主総会のようなお金がからむ事案でもすでに電磁的な議決が100%認められているというのに選挙の投票だけが、あれこれ不正や信頼性の確保を言い訳に、いつまでも従来の方式であっていいはずがありません。有権者の3割程度の人の投票で議員が選ばれている社会の方がよほど罪深いものがあると思います。
また選挙事務にかかるコストは単にお金の問題だけではありません。実際の選挙事務を担当する市町村職員に大変な肉体的、精神的負担をかけている惨状があります。選挙事務担当者は何か月もの間、土日休日がいっさいないとも聞きます。選挙実務の改善こそIT技術の出番ではありませんか。
問題は高齢者によって支持されている保守政党がすんなりスマホ投票を検討するかどうか、見通しはかなり暗いというのが実情でしょう。

2019年6月10日月曜日

牛窓、車軸を流す雨

牛窓の畑に植えたサツマイモが土地が乾燥しすぎでなかなか活着せず困っていました。でも今日雨雲が近づいて来たのでジャガイモのあとに大豆の苗を植えていたら突然スコールのような雨が降りだしました。農機具小屋に駆け込み、畑を見ていたら乾ききった畑のあちこちに水溜まりができるほどの激しさ。



2019年6月9日日曜日

ヘーゼルナッツ結実!

昨年3月に苗を植えたヘーゼルナッツに実がつきました。2本植えて1本は昨年夏の暑さと乾燥で枯死。1本では実つきが悪いとのことですが、、、
ヘーゼルナッツはドングリの仲間ではなく、ブナ目カバノキ科の低木で葉っぱが涼しげです。


収穫は秋のようです。

2019年6月5日水曜日

クラウドファンディング

 昔は個人や小さなグループがお店など始めようと思ったときは、まずは自己資金を貯め、親をくどき、さらには信用金庫や銀行に融資をお願いするのが王道でした。しかしリスクを取ることに慎重な金融機関から満足な担保もない人が事業資金を借りることなどほとんど不可能でした。
 ところが最近日本でも着実に拡がってきているのがクラウドファンディングです。自主映画の製作と公開、大手メーカーでは作れない個性豊かな服を世界市場で販売したい、ヤギを飼って本格的なチーズを作りたい……と、かつては文字通り夢まぼろしに終わりがちだった若者の夢を銀行や親に平身低頭することなく実現させる手段がついに登場したのです。
 この画期的な資金調達手段は国の施設でも活用されています。上野公園にある国立西洋美術館では2019611日から923日まで「国立西洋美術館開館60周年記念 松方コレクション展」が開催されます。同展では近年偶然発見されたモネの幻の大作「睡蓮、柳の反映」が修復のうえ展示されます。莫大な修復費用の一部として、同館は本年3月にクラウドファンディングを立ち上げました。目標額は300万円とのことで、とうてい大規模修復をまかなう額ではないのですが、西洋美術館としては国の予算がひっ迫するなか、国民に直接サポートを訴える試みを始めたということのようです。
 この企画を知った私はその場で寄付の申し出をしました。コメント欄があったので「いつも常設展をシニア無料観覧させていただいているお礼に代えて」と書き込んだところ、定型のお礼のメールの文中に「いつも無料常設展を見て下さって、そのお礼にと……素敵です」と、お堅い国立施設からのものとは想像できない心温まるメッセージを忍ばせてくれました。好感度↗
 支援総額は3,632,000円、346人からの支援があったそうです。返礼品として松方コレクション展のチケット2枚が送られてきました。ちなみに最高額の30万円寄贈した人に対する返礼は?何と馬渕明子館長(71)とのランチ!だそう。口の悪い大阪の友人にそのことを話したら、「オレはそんな罰ゲームいやだ!」と罰当たりなことを言っていました。ともかく西洋美術館の初の試みは目標額達成率121%と大成功、早い機会にモネの大作に会いたいと思います。

2019年6月2日日曜日

ポーランド人画家ラデックさん

新聞社のカルチャープラザ講座で、何十年ぶりかで始めたフランス語ですが、講師のラデックさんの記事が地元紙に掲載されました。
ポーランド人からフランス語を学ぶというより、ポーランド人画家から西洋美術史についてゼミ形式で学んでいるといったほうが正確です。ラデックさんは6月いっぱいポーランドに里帰りなのでゼミもお休み。6月は歯医者、病院予約もないので久しぶりにゆっくりできます。

山陽新聞2019/6/2備前エリア