飛行機に比べ各種割引料金の設定に消極的なJRにしては珍しく長年続いているサービスに「青春18きっぷ」の存在があります。この切符に先行して誕生した「フルムーン夫婦グリーンパス」は今年を最後に廃止するとのことで、「青春18きっぷ」は全国のJR線をまたいで格安に旅行できる唯一の人気企画商品となるのではないかと思います。
この切符が登場したのは国鉄末期の1982年ということですが、実は私はこれまで一度もこれを利用したことがありません。始発から終電まで一日中鈍行列車に乗れるだけ乗って距離をかせぐというイメージが強く、旅の余裕を楽しむというより苦行のように思えたからです。
ところが歳を取ってひまになると岡山から京阪神あたりに出かけるには片道3、4時間かかる在来線の旅の方がペース的にぴったりくるのです。新幹線「のぞみ」の45分で新大阪に到着してしまう旅は速過ぎるし料金も高過ぎ。そんなところへ遅ればせながら「青春18きっぷ」という破格の存在に気づいたという次第です。今年の夏シーズンの切符の発売最終日は何と本日、8月31日まで! 利用期間は9月10日までなので、これからの10日間、小旅行を繰り返すことにしました。大阪、京都、広島、高知、松江と思い巡らすだけですでに東西南北5日分の旅程は完成です。
話は少々ずれますが、旧国鉄のネットワークの良さは新幹線の普及と分割民営化のおかげでどんどん悪くなってきました。とりわけ長距離の鈍行列車が激減。私の中学校時代には宇野発大阪行き鈍行列車があり毎日の通学に乗っていました。蒸気機関車が消滅する直前の時代です。
私は宇野線妹尾駅(現在の瀬戸大橋線)から岡山駅まで15分ほどの乗車でしたが、昭和36年当時、大阪まで闇米を運ぶ業者が通勤通学客を押しのけて、わずかな停車時間に我が物顔で多数の米袋を客車に積み込むのには閉口。その列車は夕方には闇米屋を乗せてまた岡山へ帰ってきていました。今はもう在来線で岡山・大阪を乗り換えなしで移動することはできませんが、さいわい線路はJR西日本管轄のままつながっています。北陸地方のようにかつての北陸本線が第3セクター化によってずたずたにされた地域に比べれば岡山はまだマシか、という感じです。
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