2010年10月29日金曜日
バンコク・ソウル
9月中旬、雨季のバンコクを訪れました。5月の暴動で壊滅的被害を受けたはずの中心部の商業施設や高架鉄道駅にその痕跡はほとんどなく、相変わらず活気にあふれた街に私は融けていきました。
にぎやかな通りに面したホテルのロビーでのんびり民主党代表選結果を報じる衛星版読売新聞を読んでいたら顔見知りのボーイさんから声がかかりました。
「いつからお泊りですか?」
「2日前に来て明日はもう日本に帰るつもり。ところで、今年1月に来た時はいなかったよね、ここはもう辞めてしまったのかと思ってたけど……」
「1月?、1月はタイ北部の故郷へ帰ってそっちで働いていたのですが4月にまたバンコクに帰ってきたんです。ところでハイネケン、もう1杯いかがです?」
新しいハイネケンをぐずぐず飲み終えようとする頃合いを見計らってボーイさんがまたやってきます。
「タイ北部というと故郷はチェンマイ?」
「チェンマイじゃないけど、その近くの何とかという町です。ところでハイネケン、お代りいかがです?」
たわいもない話をしながらゆっくり時間が過ぎていきます。ここにはふだん親の介護に追われ、24時間あせりまくっている自分はもはやなく、いっさいの思考力が抜け落ちていく私があるだけです。熱帯のけだるく物憂い午後が何よりも好き。管直人721ポイント……、そんなことどうだっていいや。
ソウル。20年ぶりのソウルは見違えるほど街がきれいになっていました。空港から市内中心部までは高速鉄道と地下鉄の乗り継ぎで快適に移動できます。地下鉄車内の光景は大阪風でした。
おばちゃんが4,5人乗車してきました。世話焼きさんが「あんた、あそこの席に座り!」などと指図しながら自分は大きなお尻でぐいぐい両隣に陣地を拡大していきます。
私がおじいさんに席を代わってあげたら「ミヤナムニダ」(すみません)と感謝され、次の駅でほかの席が空いたら、おじいさんは私に「あそこに座って」と言ってくれました。私は「若いですから」と遠慮したら今度は若者が立って「ここに座れ」と席を譲ってくれました。そうか、私も十分年寄りでした。
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