2010年10月29日金曜日
捕鯨問題
日本が南氷洋で行っている調査捕鯨に関して、私は民主党政権ができたとき、従来の政策が変更されることを期待したのですが、農水省は相変わらずオーストラリアやニュージーランドなど反捕鯨国の神経を逆なでする調査捕鯨を継続しています。
いまどき「クジラを食べるのは日本の食文化」などという言葉にどれほどの重みがあるでしょう。農水省は捕鯨産業や利権団体の圧力だけを代弁せず、国民全体の意見を政策に反映してもらいたいものです。
先日おもしろい話を聞きました。
県内のある中学校でのできごとです。ネイティブによる英語教育を推進するために、その学校にはアイルランドから女性教師が派遣されています。
生徒たちが給食に出された肉料理に全然手をつけないので、アイルランド人教師は怒って「あなたたち、ちゃんと肉を食べなさい!」と指導しながら彼女は給食を残らず食べたとか。
後でその肉というのがクジラだったことを知った先生は、まるで敬虔なイスラム教徒がだまされて豚肉を食べてしまったかのようなショックを受けたそうです。
笑ってしまいました。農水省が「鯨肉は日本の伝統食材」などと外国人に訴えようが肝心の日本の子供たちはそんなものに目もくれません。
それに対し、「クジラを殺すのは野蛮人」と心情的、教条的に理解しているアイルランド人の先生は目の前に出てきたクジラ料理をおいしいと思って食べたのです。
捕鯨問題についていろいろ議論はあるでしょうが、世界のほとんどの国の人がクジラやイルカを殺すべきでないと考えている以上、やはり日本はそれに従うべきです。海の王者にして哺乳類の頂点(そして食物連鎖の頂点)に位置するクジラを砲艦と変わらない捕鯨船で捕獲するのは自然に対しあまりにも畏れを知らない行為だと私は思います。
2010年5月、環境省水俣病総合研究センターは、捕鯨の町和歌山県太地町で実施した大規模健康調査の結果から、この地区の住民の頭髪には全国平均の4倍超の水銀が蓄積している事実を公表しました。
給食のクジラ肉に手を付けなかった子供たちはそういう危険を本能的に知っていたのです。
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