1972年ソ連モスフィルム制作、アンドレイ・タルコフスキー監督の「ソラリス」。ブルーレイ版が出たのでまた購入した。ブルーレイ化しても大して画像が鮮明にならない作品も多いなか、これはすごい!
キューブリックの「2001年宇宙の旅」とよく比較されるが、今の私の年齢、救いがたい孤独な生活のなかにあってはソラリスの方がはるかに魅力的だ。映画史における究極の作品だと断定できる。知性と感性と情感がここまで完全に融合した作品を他に知らない。
すべてのシーンがなんとポエティックなことか!無機質な六本木の首都高速道路さえ見る人に激しい情感を抱かせないではいられない。まして故郷の村のせせらぎの中に漂う藻、晩秋の光、宇宙船のインテリアの細部にいたるまで。
そして、こんな残酷な映画もめったにない。人間は誰もが生きる過程において苦渋を味わう。私も自分の分は引き受けてきた。それでもクリスの苦悩を見せつけられると、こんなにも深い絶望感と苦悩をがありうるのか、そんな世界と無縁な自分はまた元気に生きていけるはず、と思うのでありました。
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