2021年6月17日木曜日

入院に対するカナダとの温度差

 還暦を過ぎたころから定期的に大腸の検査を受けています。検査時にポリープが発見され、その場で内視鏡で切除した場合、経過観察のために1泊の入院を求められるのが標準的なやり方のようです。万一の出血などを想定してのことだと思いますが、欧米では病院で出産しても問題がなければそのまま帰宅させるのに比べ、日本は軽微な手術に対しても過度に慎重だという気がします。

 今年の5月、カナダ在住の従姉妹キャスリーンから思いがけない話を聞きました。実は2月ごろ右の乳房にしこりがあるのに気付き、検査を受けたらDCIS(非浸潤性乳管がん)だと判明した、ステージ的には極早期ではあるけれど、憂いを残す部分切除や術後の放射線、化学療法は望まないので、右の乳房を全切除することにした、との重い内容でした。

 手術予定日の6月1日が過ぎ、もちろんキャスリーン本人は術後の回復のため病院で過ごしているはずで連絡はありません。1週間してもほかの従姉妹たちからも連絡がないのでひょっとして経過が悪いのかも知れないと思い、キャスリーンの姉のヨリコに国際電話をかけてみました。

ヨリコによれば手術は無事終わり家で過ごしているというので、いったい何日間入院していたのか尋ねたら、「日帰りよ!」とのことでした。右の乳房全切除というのは私の大腸にできた7ミリのポリープを取るのと訳が違うはず。ヨリコのしゃべる英語を私が聞き違えたのではないかと思っていたら、追ってキャスリーンからメールが届き、やはり日帰り手術でノープロブレムだったと書いてありました。

 一方、私も前回の大腸検査から数年が経過し、来年の2月に検査/手術の予定を組んでいます。前回とは病院を変えているのですが、1泊入院するのは同じで、まだ8ヶ月も先の話なのに先日、別の用件で病院を訪れたとき入退院の説明がありました。差額ベッドの話や身元引受人の指名など詳細な入院の手順を拝聴しているうちに、自分は末期がんにでもおかされた重病人なのか、と絶望的な気分になってきました。

 何事にも慎重に、万一の事態に備えて入院のうえ経過観察していただけるのはとても贅沢なことですが、望めば自己責任で帰宅させてもらいたいものです。カナダの従姉妹の場合との違いはあまりに大きいです。


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