1970年代、20代の私はシャンソンやカンツォーネのレコードを聴くのが大好きでした。ダリダ(1933-1987)というフランスの歌手が人気絶頂で、彼女のイタリア語訛のフランス語はとても聞き取りやすく、私はそんな彼女の歌を繰り返し聴きながらフランス語やイタリア語を同時に覚えたものです。
ダリダのことはピンと来ない方も、アラン・ドロンとのデュエット「あまい囁き」の甘美なメロディーはご記憶にあるかもしれませんね。そんなダリダの数々のヒット曲の中でも、私自身日々老いを意識する今なお心に響き続ける歌があります。「18歳の彼」という曲です。今でいうアラフォーの女性に18歳になったばかりの恋人ができたというお話。
18歳の彼は子どものように美しく、大人の男のようにたくましい。彼を誘惑するためなら何をあげたって惜しくない……。アラフォー女性は恋愛において余裕を見せたくても、若い男にぞっこんで、なすすべもない。まだ子どものくせして「悪くはなかったよ」などと生意気な口をきく彼を自分のもとに引き留めておくすべはない。よく考えてみたら私は18歳の彼の2倍もの年を取っていたのだ……。
いかにもフランスらしい歌詞です。実際現在のマクロン・フランス大統領は高校時代16歳のとき出会った24歳年上の国語教師ブリジットと結婚しています。40歳の教師が16歳の少年と恋に落ちたなどと言うと日本では即刻辞表もの。マクロン大統領は今でもはるか年上の妻を大変愛しているようですが、これはいくらフランスでもやや例外的なことではないかと思います。ふつうはダリダの歌のようにアラフォー女性が18歳の若い男とハッピーに暮らすのは難しいでしょう。
私自身、ダリダのさらに倍もの年齢になって、恋愛とかそんな意味ではなくても、若い世代の人々とどうコミュニケーションを取ったらいいのかよく分からないです。昭和オヤジが嫌われる定番は説教、昔話、自慢話が三冠王だったような。はたまたカルト教祖のように妖術を使って若い女性を洗脳するタイプの爺さんはいつの時代にもいるものです。(千石イエス方舟事件,1979)。私は、そうではなく、ふつうにどの世代の人ともお互いに無理せず楽しく生きていけたらと思います。
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