2016年6月30日木曜日

「ロバの夢」舞踏 x 演劇 イン・ルネス 7/29(金)19時~

“舞踏”は日本発祥の身体芸術ジャンルのひとつです。欧米ではButoという名のもとに評価が確立しているのに対し、本家の日本では「なにやら、よく分からない、怖い」などというのが一般的な受け止め方ではないでしょうか。
実際、舞台を見るとおどろおどろしいメイクアップと身体の不思議な動き、難解なストーリー展開、いやそもそもはっきりしたストーリーや舞台展開がないことに不条理な印象をもってしまうのも事実です。けれどもそこが舞踏の奥深い魅力であるし、異空間、異次元の世界に入り込んだような錯覚を覚えるみなもとであるとも言えるのではないかと思います。
前置きが長くなりましたが、長年フランスを始めヨーロッパ各地の芸術祭で活躍してきた舞踏家・古関すまこさんが、この夏故郷の岡山で舞踏の公演を行うことになりました。実はこのコラムを書いている私は古関さんとは中学校時代の同窓生で、2001年春ヨーロッパ旅行した際にフランスのパリで彼女の舞踏公演を見たことがあります。確かユネスコが主催した公演だったと思いますが、劇場は超満員で彼女のパフォーマンスに観客は総立ちで熱狂的な拍手を送っていました。
私の周りの観客の何人かは日本人の私をつかまえて「あれはどういう意味か、何かの象徴なのか?」などと熱心に尋ねてくる始末。私自身、舞踏のことなど何も知らないのに「あれは人類が共通してもっている魂の感覚、いわば宇宙的感覚なるものを視覚化したものだ」などと口から出まかせの解説をして彼らを納得させたものです(冷や汗)。
今回の岡山での公演タイトルは「ロバの夢」。醒めても醒めてもそこはいつも夢の中といった不条理な「眠り・夢・覚醒(うつつ)の関係、この不思議な意識下の世界は舞踏の世界でもある」のだそうで、それがどんなものなのかは、これを読んで下さっている読者の皆さまにはぜひともルネスホール(岡山市)で確かめていただけたらと思います。

チケットは前売りが2000円で取り置きできるそうです。学生は前売り当日ともわずか500円。当日ふらっと立ち寄ってButoの不思議な世界を覗いてください。(お問い合わせ)kikaku.on@gmail.com

2014年2月スロバキア、ブラチスラヴァでの公演「変身」より
https://www.youtube.com/watch?v=STJ5usC1GaA
2014年2月スロバキア公演「変身」より

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食中毒、ひやり体験

今年はとにかくよく雨が降ります。食品衛生管理が徹底した今日、高温多湿の季節でも昔ほど食中毒の心配はありません。しかしそこに慢心というか油断がありました。
家庭菜園のゴーヤの垣根に今年初の実が成っているのを見つけさっそく収穫しました。ゴーヤはチャンプルーが1番。冷蔵庫の中を探したらミートケースに豚肉の切り落としがありました。“ちょっと前”にスーパーで買ったものです。
「賞味期限が3日ほど過ぎているけどまあいいか」と思って料理開始。肉の色も少々黒ずんできているけれどにおいを嗅いだら問題なさそう。豚肉にはしっかり火を通し、まあまあのゴーヤチャンプルーが完成し、特に違和感もなく食べました。
しかし賞味期限が切れた豚肉を食べたことが気になりあらためてゴミ箱から豚肉が入っていたパッケージを取り出して日付を確認したら一気に気分が悪くなりました。賞味期限が切れて3日ではなく10日もたった代物でした。不覚にもカレンダーを1週間間違えていました。
食中毒には大きく分けて二つあるそうです。一つは加熱が不十分な食材を食べて体内で細菌やウィルスが爆発的に増殖するもの。もう一つは細菌などが作り出した毒素がわるさをするものです。これは煮ても焼いても毒素は分解されず食中たりを引き起こすそうです。私は腐りかけの豚肉を十分加熱して食べたので中毒を起こすとしたら後者の展開をたどるはず。…食後数時間が勝負、今のところ吐き気、下痢なし…不安を抱えたまま眠れぬ夜を過ごし何とか無事朝を迎えることができました。
 今回の“ひやり体験”を通していろんなことを学びました。老年に近づいて体力が低下している今の自分にとって食中毒は命取りになりうること。冷蔵庫の食材管理ができていないこと(多種多様の“危険物”がミイラになっている)。スーパーでは他のお客の目が気になっても棚の奥から賞味期限が一番遅いものを引っぱり出すこと。肉や魚は当日食べないものは迷わず冷凍庫に放り込むこと、こんな注意点を自分に言い聞かせました。

 それにしても賞味期限がとっくに過ぎ、変色までしている豚肉を“まだいける”と判断してしまった自分って食中毒そのものより恐ろしい!老化は実にさまざまな切り口で人を襲ってくるものです。

終活セミナー

平日の昼下がり、親の古家でぽけーっとテレビを見ていたら電話が鳴りました。固定電話にかかってくる電話の98パーセントはあやしげな商品の売り込み電話です。
しぶしぶ出たら案の定、知らない女性のさわやかな声でした。すぐに切ろうとしたのですが一瞬ためらっていると、「こちらはXX銀行お客様相談センターです」などと口座がある銀行名を名乗っていたので話を聞くことにしました。どうやら銀行も昔ながらの殿様商売では儲からなくなってきているので積極的にご用聞きの電話をかけている様子です。
「とくにお願いすることも、不便に感じていることもありませんが……」と、ことごとくノーサンキューを突きつけていたら、思いもかけないことを言い出しました。「今度、岡山で終活セミナーがあります。お席をご用意しますのでどうぞご出席ください」とのお誘いでした。
終活など縁起でもないと断ろうと思ったものの本当のボケ老人になってからではもう手遅れで、今が終活適齢期なのかもしれません。銀行も個人情報データベースを見ながらターゲットを絞って電話をかけてきているのでしょう。
セミナーが行われる日はたまたま私の誕生日で今度68歳になります。誕生日プレゼントが終活セミナーとは、悪い冗談ではあるけれど思わず「じゃあ参加します」と言ってしまいました。後日またそれがどんなものだったかご報告しようと思います。
そんな話をカナダの従姉妹に電話したら、子ども達が独立してしまった夫婦2人にとって戸建ての家は大きすぎるのでシニア世帯向けの集合住宅に引っ越す準備をしている最中だと言います。たしかにそれぞれの部屋にバストイレがついた寝室が5つもある家では光熱費もばかにならないし、庭の芝刈り、真冬マイナス20度にもなる屋外での雪かきは苦痛だろうと思います。

子ども達を育て人生の一番いい時期を何十年も過ごした家をあっさり売りに出し、コンパクトで便利な家に引っ越す決断をした従姉妹夫妻の行動はカナダでは当然の選択で感傷にひたる話ではないようです。これこそ戦略的な終活です。それにひきかえ古い家とともになすすべもなく朽ち果てていくつもりの私にセミナーの講師はいったいどのようなアドバイスをしてくれるのでしょう?

2016年6月12日日曜日

祝LCC岡山・台北線就航

岡山空港発着の国際線の歴史をざっと振り返るとソウル便と上海便は比較的安定的に定期運行を維持していますが、グァムや大連・北京、エバー航空による台北便は搭乗率を維持できずわずかな年数で撤退しました。そして今また7月16日から香港便が毎日1往復を週2便に大きく減便する予定です。
いくら観光日本ブームとはいえ、岡山と香港をダイレクトに行き来するお客が毎日1便運行するほどいるとは思えず早晩減便は避けられないと思っていましたが早くも現実になりました。岡山県が主体になって需要喚起を呼びかけても無理なものは無理という気がします。
ところが香港便減便と入れ替わりに新規にタイガーエア台湾が台北と岡山の間に7月14日から定期便を就航させるといううれしいニュースが飛び込んできました。私の予感ではこの便は、北京や香港便と異なり長期的に安定した運行が見込めるのではないかという気がします。
その理由はまず第1にLCC(格安運賃航空)であること。片道の料金は5300円(税別)からと報じられています。ここがかつて就航していたエバー航空との大きな違いです。往復で1万円ちょっと、税や空港使用料など加算しても岡山台北往復運賃が2万円で納まることになります。
第2の利点として、LCCは片道運賃をベースにしているので日程やルートが利用者のニーズにあった選択ができることです。岡山から出発し帰りは大阪や東京経由という周遊ルートが格安で成り立ちます。これは観光旅行でもビジネスでも大変な利点です。ひとつだけ注文を付けるとしたら、予定では月、木、日の運行で最低でも台湾に3泊せざるを得ず、早期に2泊3日の旅行ができる運行体制にしてもらいたいと思います。
これまで数度台北を訪問しましたが、台北ほど安全で気軽、日本での日常感覚のまま旅ができる外国の都市はほかにないと感じました。お年寄りだけでなく飲食店の若い従業員も日本語で対応してくれることが多く、言葉に不自由しません。また大陸中国と違い人々の表情が明るく穏やかなのも旅行者にとって何よりのサービスです。

 台北線によって人が動くだけでなく双方のおいしい農産物、海産物が岡山と台北の店に並ぶことも大いに期待しています。

スーパー銭湯で健康に

昨年の今ごろ体重が我が人生空前絶後の3桁突入という恐ろしい事態になりました。両足は恒常的にむくみ、わずかな坂道を登るのにも心臓がバクバクしました。心臓病の専門病院でいろいろ検査を受けたのですが、これという決定的な原因がつかめないまま過ごしていたら、秋になって蚊かダニによる感染症にかかり1週間入院するという最悪の健康状態になってしまいました。
むくみの原因も感染症の原因も特定されなかったのですが、はっきりしているのは体重過多、運動不足、介護生活のストレスが死のプレリュード(前奏曲)を奏でていたのに違いありません。
自分の健康を回復するにはいったいどこから手をつけたらいいのか途方にくれましたが、とりあえず水中歩行から始めました。最初のうちは岡山と倉敷の市民プールに通ったのですが、水着に着替えたり、水泳キャップをかぶるのがどうもめんどうくさい。しかしついに理想的な水中歩行ができる場所と出会いました。それはスーパー銭湯です。
岡山市北区久米にある“大家族の湯”の前の旧2号はしょっちゅう車で通過していたのにそこがどんな場所なのかよく分からないまま長年敬遠していました。しかし、ある日意を決して入ってみるとあまりの広さと充実した施設にびっくりでした。
温水プールも併設されていますが私が水中歩行のために愛用しているのは“歩き湯”です。ここなら素っ裸のままでいいし、1周18メートルほどの水路はお湯が強力なジェット水流になって循環しています。流れに逆らってお湯の中を歩くと足にかなりの負荷がかかりいい運動になります。ときおり上流から小さな子どもたちが河童の川流れよろしく次々と流れてくるのは微笑ましく愉快な光景です(遊泳は禁止ですが)。
この“歩き湯”は公衆浴場料金の420円で利用できる区域にあり安価に毎日利用できます。“歩き湯”を歩くこと5ヶ月、体重が約10キロ落ち、そういえば足のむくみも改善しています。何となく健康になったような実感があります。

現在、このスーパー銭湯はリニューアル工事中で再オープンは6月下旬とのことですが、それまではほかの銭湯を探索してみようと思います。映画「テルマエ・ロマエ」にも登場する日本の銭湯文化ばんざい!