2011年9月11日日曜日

台風12号

岡山は日本では例外的に自然災害が少ない土地柄です。“台風が来たって四国山地が衝立のようにそびえているので岡山を直撃することはないだろう、津波も内海に入ってくるあいだにずいぶん勢力をなくすに違いない”と思っていましたが今回の台風はまるで岡山に吸い寄せられたかのような進路をたどりました。
しかし台風が岡山に上陸したというまさにその日、その時間は土曜日の昼間でしたが商店も病院も喫茶店もいつもどおり営業していました。一方、テレビは岡山市南区全域に避難勧告が出たとテロップを流していましたが緊迫感はゼロ、いったいどこの話かという感じでした。そして午後には風雨は収まり台風はそのまま鳥取に抜けていきました。(高谷岡山市長は台風来襲時にスポーツジムで汗を流していました)
翌日の新聞で岡山市北区や倉敷、玉野で浸水被害があったことを知って岡山県でも被害があったことに驚きましたが岡山県だけは死者、行方不明者ともゼロでした。大騒ぎした割には大したことはなかったというのが率直な印象です。逆に遠く離れた紀伊半島で死者行方不明者が100人を超したことを考えれば、やはり岡山は自然災害から元々まぬかれていることが実感されます。
全国的に防災意識が高まるなか岡山市南区で避難勧告に応じて避難所に逃げた人はたった数百人だったことに対していろいろと議論があります。そもそも南区の全員が避難する場所もないのに全域に避難勧告を出したのはおかしいと行政の不可解な判断を責める意見とともに危機感にとぼしい住民意識を嘆く意見などがとりざたされています。
しかし私には今回の岡山の人々の行動は事態を冷静に観察し現実的な判断をした結果であって、あれでよかったとしか思えません。へたに避難行動をとれば用水路に落ちたり、吹き飛んでくるトタン板で頭を切ったり、狭い避難所でのストレスで体調をくずすのが関の山です。
今後また岡山に台風が来たり高潮や津波の害が予想されることは必ずありますが、行政は南区全域などとおおざっぱな指定をするのではなく過去に浸水した地区を中心にピンポイントで指示を出すべきです。そして避難勧告を出す以上は周知徹底してもらいたいと思います。東日本大地震では日頃の安易な津波警報に慣れた住民がいちばんの犠牲者になったことは悲しくまた重い教訓です。

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