2012年2月13日月曜日

上海メモラビリア

  NHKのラジオ講座を頼りに中国語の勉強を始めてもう数年になります。還暦を過ぎての外国語学習は若かったころのようにすんなりといかないのは仕方ないですが、それにしても努力の割にちっとも成果があがらないのは不思議なことです。

地下鉄車内であれ路上であれ機関銃を「ダダダダダッ」と撃ちまくるような中国人の会話は私にはほんの短いやりとりすら聞き取れません。彼らはいったい何を話題にしているのだろう?しゃべっていることの内容が分からない会話はいっそう興味をそそります。

一方で、話したり聞いたりは絶望的であっても中国語の読解の方は何とかなりそうな気がします。辞典を片手にパズルを解く感覚で読んでいけばいいのですから。さて何を読むかですが、長編小説などは荷が重すぎます。やはり現代の文筆家の手になる短編集やエッセイが量的にも無難です。

最近中国人としては異例のみずみずしい感性にあふれた女性のエッセイ集に出会いました。陳丹燕(ちん・たんえん)の「上海メモラビリア」(草思社、2003)というエッセイ集です。1958年生まれの彼女は多感な少女時代に文化大革命にも遭遇しているし、現代の最先端都市上海がまだドブ臭かったころの記憶が残っている世代です。さっそく中国語の原著を探しだし、手元にある日本語訳の助けを借りながら読んでいくことにしました。

まず読むべき箇所と量を決めて、新出語句を辞典で調べます。多義語の中から適切な語義を選択するのが大変困難。やっかいなことに単語の意味は何とか分かっても文章として意味がすっきり理解できることはめったにありません。が、しかしここが大学受験英語で磨いた腕の見せ所で、ちょっと文字面を見る目を離して全体の意味を想像します。「こんなとこだろう」と自分なりに解釈できた時点で訳本を見ます。

「上海メモラビリア」を読んで、素敵なカフェやレストラン、因縁めいた横町やオールド上海の面影を残しているところが随所にあることが分かりました。今度上海にいったら私も少しディープな上海を探索しようと思います。原題は「上海的風花雪月」。「風花雪月」とは「花鳥風月」のことです。日本語では「雪」が「鳥」に代わっていますね。

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