2014年5月11日日曜日

韓国フェリー事故と韓国紙


未曾有の大惨事になった韓国のフェリー事故。第一報をテレビで見たときはまさかあのまま500人近い乗客が船もろとも沈没してしまうとは思いもよりませんでした。しかし事態は乗務員の現場放棄、救援当局の初動の遅れのなか一気に悪化し、422日時点で救助されたのはわずか174人、300余名の高校生らが犠牲になりまた行方不明となっています。

事件発生以来、ネットに無料掲載されている韓国紙「中央日報」日本語版で事故の詳報と救援活動の様子を連日追ったのですが、“責任者”たちの行動の異様さ、無責任ぶりには唖然としっぱなしでした。しかしそれを伝える中央日報などマスコミの論調そのものも奇妙でした。

社説や論評を通して救援活動に適切なアドバイスをするでもなく、論調にはある種、陶酔感が満ち満ちているのです。悲劇の主人公になったような気分なのでしょうが彼らはもちろん当事者ではありません。

政府高官の行状を批判し、逃げ出した船長、航海士や機関士をののしり、「韓国のような先進国でなぜ?」と訝(いぶか)ってみせたり、はたまた「韓国は3流国だった」と自虐的な記事を書いたりしているのですが、要は評論家気取り、高みの見物というスタンス丸出しです。

この奇妙さはいったい何なのかと思います。東北大震災のときの日本のマスコミ報道も決して手放しで誉められるものではなかったのですが、少なくとも被災者の心に寄り添おうとする気持ちはどの記事からも感じられました。こうした点が韓国と日本の報道の根本的な違いであるように思えてしかたありません。

乗客を置いて一番に逃げ出し、水に濡れたお金を乾かす船長のおぞましい限りの醜態。事故対策を指揮する安全行政省の高官は現場の死亡者名簿の前で“記念写真”を撮って遺族の怒りを買い着任からたった4時間で解任。事故発生直後に日米など外国の援助申し出を拒否し、今になって官僚をなじり、「船長の行動は殺人に等しい」と感情をあらわにする大統領。こんな大人たちに殺された300人の若い犠牲者が哀れです。

号泣し、怒りをぶちまける家族を「国民のレベルが低いから国のレベルも低い」とあざ笑う与党セヌリ党国会議員の息子というのもいました。必ずしも的はずれとは言えないだけにコメントしようがないです。

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