2022年6月15日水曜日

泉州水なす

大阪で暮らした約30年のあいだに出会った食材で一番感動したのが「泉州水なす」です。Wikipediaによれば「なにわ伝統野菜第一号」の称号を授与されているとか。関西空港行き電車が岸和田、貝塚、泉佐野あたりを通るとき、車窓から水ナス栽培農家のビニールハウスがよく見えます。水ナスはその名のとおり栽培には土壌中にたっぷり水が含まれていることが必須で、本場の水ナス畑は畝と畝の間の通路が常時水浸しになっています。

2001年に親の介護のために岡山に帰ってきたのですが、意外にもここ岡山でも駅前のデパートの野菜売場で「泉州水なす」をよく見かけます。これを買い求め、家で糠漬けにして食べると絶品! そこで今年は水ナスそのものを家で育ててみることにしました。

4月、たまたま訪れた美星町の「星の郷青空市」の園芸ショップで水ナスの苗を発見し3本購入しました。茎や葉には水ナスの絹肌の実にそぐわないするどいトゲがあり、このトゲこそ本場泉州の水ナスの特徴かと思います。晴天続きの5月中毎日水やりを続けた甲斐があってか、6月になって待望の水ナス第1号が収穫できました。さっそく糠漬けです。例年春と秋の気候のいい時期に糠床を生糠から作るのですが、今年はてっとり早くスーパーで完成品の糠床を購入し、そこに山椒の実や昆布、唐辛子、酒粕、清酒、生糠などをアレンジしました。そしてキュウリやキャベツ、ふつうのナスを何度か漬け、たちまち熟成糠床が完成しました。

収穫直後のツヤツヤ新鮮な水ナスを熟成糠床に漬け込むこと一昼夜、たちまち何ともいえないさっぱりした食感最高の糠漬けができました。アクが少なく生でも食べられる水ナスは浅漬けが一番。鰹節をかけ、しょうゆをちょっと垂らして、炊き立てのご飯に乗せて食べるとほかにおかずは要りません。みずみずしい初夏の食卓です。

梅雨入りして水分をたっぷり含んだ畑ではキュウリ、ナス、インゲン、ズッキーニ、ミニトマトが収穫期を迎えました。美星町特産のかぐわしいベーコンをちょっと炒め、そこに畑でとれたジャガイモ、タマネギ、ズッキーニやインゲンなどを加えて作ったミネストローネもこの季節ならではのフレッシュな一品です。


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