2014年3月4日火曜日

『レオナール・フジタとパリ1913-1931』展


『レオナール・フジタとパリ1913-1931』展
「藤田嗣治 渡仏100周年記念」と冠した展覧会が岡山県立美術館で開催中です。セザンヌ、ゴッホ、ゴーギャンなど後期印象派の巨匠たちが去ったあと、ヨーロッパの画壇はピカソやモジリアニ、アンリ・ルソーなど20世紀絵画の時代を迎えました。
パリを中心に20世紀前半ごろ大活躍した一派は絵画史ではエコール・ド・パリ(パリ派)と呼ばれています。ルソー、ヴラマンク、ドラン、ユトリロ、ローランサン、シャガール……の名画の数々は岡山県人にとっては子どものころから大原美術館でおなじみですね。
そのなかでひときわユニークな存在感を示しているのが藤田嗣治(レオナール・フジタ)で、単に日本人画家であったというよりエコール・ド・パリを代表する画家であったことは案外日本では知られていないのではないでしょうか。
藤田の作品は国内の主要美術館にたいてい2,3点所蔵されているはずですが、一挙に100点近くの藤田を見られる機会はめったになく、4月6日の会期末まで何度か足を運ぼうと思います。なお画家の名前が「藤田」であったり「フジタ」であるのは晩年、藤田がフランスに帰化し、カトリックに改宗したためで、絵画史的にはフランスを代表する画家の一人ということになります。
そのような意味で、今回の企画展では岡山にゆかりのある画家でアメリカに帰化した国吉康雄の作品が多数展示されていて、なかなか気のきいた展覧会だと感心しました。
国吉はアメリカ美術史においてもっとも芸術的に成功した画家としてゆるぎない地位を確立した人ですが、藤田同様日本での知名度がやや低いのが残念です。県立美術館の国吉作品の多くは福武書店からの寄託を受けたものですが、ふだんは館蔵作品が3,4点展示されているだけなので、今回は見ごたえがあります。
こうした企画展を通して日本人の足跡をたどってみると大正・昭和初期、経済的には苦しいなか、船で40日もかかる長旅をものともせずアメリカへ、フランスへ雄飛し、超一流の芸術家たちと肩を並べて才能を開花させてきたことがよくわかります。彼らは現代日本の直接の先輩世代のアーティストたちで、そのエネルギッシュなことに脱帽です。


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