2019年12月11日水曜日

令和2年

 新年あけましておめでとうございます。
 昨年は、上皇陛下の決断によって令和という新しい時代を迎えることができました。思い起こせば昭和の終わり、約半年の長きにわたって国中に重苦しい空気が漂い、自粛ムードの末に唐突に平成時代が始まりました。あの時に比べ今回の皇位継承はとても晴れ晴れとしたものでした。
 昨年4月末日から51日にかけては上皇陛下の退位、新天皇の即位の儀式があり、同1022日には即位礼正殿の儀があり、同1114日から15日にかけて大嘗祭がつつがなく執り行われました。いずれの行事も我々一般国民はテレビ中継で垣間見ることしかかないませんでしたが、それでも千数百年の歴史と伝統に自分自身も連なっていることが実感され感慨深いものがありました。
 昨年11月末、大嘗祭のために造営された大嘗宮がしばらくのあいだ一般公開されていたので、生まれて初めて皇居に出かけてみました。江戸城本丸跡の広場に設営された大嘗宮は意外なほどシンプルなもので、またちらっと見えた宮殿もフランスのベルサイユ宮殿、ロシアの冬宮殿(エルミタージュ)などと比較するのも愚かなぐらい何の変哲もない“質素”なものでした。しかし21世紀の彼我の宮殿には決定的な違いがあります。こちらの宮殿には国民の象徴としての天皇陛下が()()すのに対し、ベルサイユもエルミタージュも今は主なき館にして壮大な博物館、美術館に過ぎません。おごれる人も久しからず。対する日本は質素さと祈りです。
自然とともにつつましく暮らし、毎日昇ってくる太陽に感謝し(冬場、太陽が昇らない国もあります)、春になれば山桜が近くの山、遠くの山に棚引いてうっとり。五月晴れの後は雨の情緒を楽しみ、汗を流し、夏の終わりにはふと忍び寄る秋にここちよい風を感じ、初めて採れたお米に感謝を捧げ、大豆を収穫し、味噌を仕込んでまた新年を迎えます。
現在、米中の2大超大国による“戦争”がじわじわ戦火を拡大しつつあり、日本の行方もはっきりしません。しかし日本史上いろいろあったにせよ、縄文時代以来1万年もの長い時を、幾多の自然災害をものともせず人々はたくましく生き抜いてきた事実を心の拠り所として、心穏やかに暮らしていきたいものです。

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