2020年4月2日木曜日

作られる医療崩壊

 桜が咲く頃には気温・湿度とも上昇するので新型コロナウイルスも自然に収まるのではないか、との当初の見込みと期待はみごとに裏切られました。まさに爆発寸前、医療崩壊寸前です。最近、岡山市内で長年診療所をやっている友人から悲痛な声が同窓会のメーリングリストに寄せられました。
(1)医師がPCR検査が必要と判断しても行政当局(保健所)から拒否される。(2)患者が重症化して入院するころにはすでにウイルスをあちこちまき散らしている。潜在的な感染者は陽性判定された人数の10倍、100倍は存在しているはず。そして友人の医師は、(3)「検査対象を決めるのは、行政ではなく、現場の患者を診ている臨床医がするべきこと。検査を増やして、無症状、軽症は在宅か施設で管理、病院は治療が必要な患者に空けることは岡山でもすぐできることだ、と主張しています。
 この切実な叫びは友人に限らず現場の医者ならだれでも痛切に感じていることでしょう。ところが指定感染症に関する法令に従えば新型コロナウイルスに感染していることが判明したら直ちに入院させ最低でも12日余り病院で管理、間隔を空けた2度の検査で陰性になるまで退院させることができないとなっています。事実、今この感染症でベッドをふさいでいる患者は軽症の人が大半のはずです。病院が単なる隔離施設になってしまっているのです。
 別の言い方をすれば、検査をすれば陽性者が出て病院がパンクするのでPCR検査は極力しない、例え現場の医師が必要と判断した場合でも、というのが医療先進国日本のお寒い現状。この本末転倒した仕組みこそ医療崩壊の原因だと思いますが、大阪府の吉村知事は重症度に応じた治療・隔離施設の分割を早くから提唱してきました。しかし吉村知事の提案も感染症に関する国の法令のしばりで簡単にはいかないのでしょう。

 カナダの従姉たちからカナダの現状を伝えるメールが毎週のようにきます。地方都市までロックダウン状態で食料品の買い出しも制限があるようです。それでも彼女たちのメールにはカナダ政府や地方行政に対する信頼感があふれています。行政の早い決断、思い切った措置、援助、等々に対して「信頼できる」と賞賛しています。このような政府を作っているカナダ国民は本当に立派です。

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