2020年4月8日水曜日

日本の至宝ビジネスホテルを世界に

 新型コロナウイルス感染症の拡大にともない東京など大都市では病床がほぼ満杯です。そのため東京都はついに軽症者を病院から民間のホテルに移し始めました。そこで出番になったのが商用客、観光客とも激減のビジネスホテルです。
 ホスピタル(病院)からホテルへと言うと何だか語呂合わせのように聞こえますが、この二つの言葉の語源は同一で、元々はラテン語のhospitale、客をもてなす場所、から来ていると学生時代に教わりました。旅人あるいは病んだ人々を暖かくお迎えするという意味で病院とホテルはそんなに違いはないでしょう。
 余談はさておき、20代のころからヨーロッパを中心に一人旅を度々繰り返してきました。しかしいつも不便、不経済この上ないと不満に感じてきたのが外国のツインベッド主体のホテルです。シングルルームなんてほとんど存在しません。たとえシングルで予約を取っていてもいざ部屋に入ってみるとツインベッドがデンと構えています。
 そんな外国のホテル事情に比較してしみじみいいなあと思うのが我が日本のビジネスホテル。今回東京で新型コロナウイルス患者を受け入れることになった東横INNチェーンは、私も常日頃お世話になっていて、本当によくできているなと滞在するたびに感嘆します。
 一人旅の私には機能的で清潔な部屋、寝心地のいいベッドがあれば十分。ただ全国どこで泊まっても部屋の作りやインテリアまでもが同一で、例えば、今日は博多、明日は熊本、そして大分と移動しても、翌朝目が覚めたとき一瞬「ここはどこ?」と滞在場所の見当識がすぐにはよみがえってこないのが難点です……。
 それにしても、こんな便利で快適なシングル主体のホテルがなぜ外国では皆無なのでしょうか?そのことは日本発のパック旅行にも大きく影響しています。例の「お一人様参加追加料金」です。我ら「お一人様」にはとんでもなく高い追加料金上乗せがあるので、せっかくの格安パック旅行が遠く手の届かないものになってしまいます。
 ラグジュアリー感には欠けるものの日本が発明したビジネスホテルこそ世界に誇りうる至宝のインフラ。現在東横INNは韓国等にもチェーン展開していますが、業界にはパリやニューヨーク等欧米の主要都市にぜひ1000室規模のシングル主体のホテルを作ってもらいたいものです。

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