2019年11月6日水曜日

郵政民営化から12年

 先日、介護保険料の支払いと通帳記帳を半年ほど怠っていたので近くの集配郵便局に出かけました。ATMで記帳したところ余白ページがなくなり、支払いの件も含め通帳繰り越しのため、窓口で番号札を取りしばらく待ちました。
 平日の昼下がりの郵便局は民営化前とあまり変わらず、年輩のお客が目立ちます。思い起こせば小泉内閣時代、郵政民営化を巡って自民党は二つに割れ、郵政解散があり、民営化反対の立候補者に対しては“刺客”などという物騒な対立候補を送り込む大乱闘がありました。
 それから12年の歳月が流れ、当初心配された過疎地での郵便サービスの消滅、極端な不便化は避けられ、あまり目立ったクレームは発生しなかったように思います。しかし今年7月に明るみに出たかんぽ生命の不適切契約問題には、顧客軽視の実体が浮き彫りになり、とりわけお年寄りが大きな被害を受けました。
 “郵便局の保険なら間違いはない”という過去の信用に泥を塗る大変な裏切りであり、きついノルマが従業員に課せられたゆえの組織犯罪といってもおかしくない不祥事でした。とはいえ、郵便局の中を見渡してもそんなありえない不祥事があったことなど想像もできません。みなさん誠実、親切に顧客に接していて、昔の郵便局の雰囲気そのままです。
 でも素朴な疑問が湧きました。ゼロ金利時代になってもう何年も経つのにゆうちょ銀行はどうやって社員の給与を工面しているのだろう?民営化以前は350兆円の資金を国や道路公団などに貸し付けて悠々と仕事ができていたはずですが、コストのかかる郵便事業、利益を生まない銀行業、外資保険の販売までやらされているかんぽ事業など、気が遠くなるほど効率の悪い巨大組織です。

 やっと呼び出しがあり用件を伝えました。コンビニなら30秒で終わる公共料金の支払い、銀行ならATMでできる通帳繰り越しに10分もかかりました。伝票を書かされたり、窓口担当者は上席の承認をもらいに席を立ったり、仕事の遅さは相変わらず。「効率が悪く、稼いでいない」これが民営化後の郵便局に対する私の感想です。あれだけ大騒ぎした挙げ句の果てに誕生した民営郵政事業はいずれの分野をとっても顧客サービスはぱっとしないし、職員にとっても厳しい改革だったように思えます。

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