2019年7月23日火曜日

三つ子の魂百まで

 東京上野の国立西洋美術館で開催中の松方コレクション展会場に展示されている松方幸次郎の経歴をあらためて読んでみました。昔の実業家、大富豪はスケールも違うし、やることも大胆でしかも巨万の富をちゃんと後世に残す算段をして世を去っていることに大変感銘を受けました。
 説明は日本語のほか英語でもなされ、何気なく英文のパネルを読んでいたら、「第一次世界大戦」、「第二次世界大戦」の部分が”the First World War””the Second World War”と綴られていることに気づきました。これらは固有名詞なのでふつうは”World War I”, ”World War II”と称する、というのが私の頭の中にあり、ちょっと違和感がありました。
 岡山に帰ってきて、よせばいいのに、そのことについて美術館宛にメールを出してみました。あの名だたる国立美術館の学芸員様あてに!もちろん控えめな言葉使いに努め、また西洋美術館自身のホームページ上でも松方幸次郎を紹介する記事においては、”World War II”式の表現を使っていることを引用しつつ、とにかくクレーマー扱いされないよう心がけました。
数日後、返信のメールがきました。文面は私が指摘した点にはとくに触れることなく、「このたびは貴重なご意見をいただき、重ねてお礼申し上げます。今後の運営などの参考とさせて頂きます」という実に素っ気ないものでした。たぶん役所的にはこういう文面こそ100点満点の回答なのだと思います。つまり何か答えているようでもあり、同時にお前の意見など何一つ取り合っていないということを最小限の言葉でクレーマーに悟らせるテクニックを駆使した模範回答。
 思えば私は小学生のころから71歳の現在までずっとこんなどうでもいいことを指摘するのが好きな人間でした。お節介、出しゃばり、自己顕示欲のかたまり……。今でもよく覚えていて思い返すたびに赤面するのは、小学生のとき、月の自転を巡って担任の先生を説教したことです。
 「月は自転しません」と先生がおっしゃるので、「公転と自転周期が一致しているだけで自転しています。もし自転しないのなら月の裏側が見えるはずです」と私。先生は首をひねっておられました。どうも納得がいかないようすです。「先生、家に帰って一晩よく考えてみて下さい!」本当にいやな子どもでした。

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