2007年11月10日土曜日

廃車/廃鶏/廃兵(未定稿)

関東は雨模様のようですが、岡山は快晴です。

 長年乗り続けている日産パルサー、23万キロ走ってなお酷使していたらついにエンジンルームから煙りが出てきて動かなくなりました。ラジェータに水を送るポンプが壊れたらしくもう廃車にしようと思いましたがポンプの交換を含め車検に出し、さきほど帰ってきました。「この車では遠出しないように」と車屋さんから言われました。ポンプやバッテリー交換も含めいっさいがっさいで135000円。良心的な修理屋さんです。

 修理屋さんの話では排ガスによる環境汚染に関して、私の車も新車もたいして変わらないそうです。でも自動車税は古い車には割り増し税をかけてきて納得がいきません。廃車にして新車を買うほうがよほど環境負荷が高いのに。

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 地鶏偽装問題で「廃鶏」という言葉が使われています。廃鶏といっても死んだ鳥ではなく、卵を毎日は産まなくなった鶏のことです。産卵率が悪くなると即食肉かペットフードにされてしまうのが鶏の運命。うちのニワトリたちは一番多いときで7羽いたのですが、今やたった一羽残るのみとなりました。もう卵も産まず庭で余生を猫相手に過ごしています。

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パリの観光名所にアンバリッドがあります。日本語で「廃兵院」という巨大ドーム型の建物で、ドームの真ん中にナポレオンの棺が鎮座しています。廃兵院!人権にうるさいはずのフランス人がすごい名前をつけるものだと20代のころ初めて廃兵院を訪れたとき感じました。廃兵とは戦場で傷ついた兵士のことで、廃人になってしまった兵が余生を過ごす場所が廃兵院。ただしあの壮麗にして豪華絢爛な建物に実際に廃兵が収容されたかどうか怪しい。高級将校クラスなら入れたかもしれません。

 前置きはともかく、廃兵(invalide) ということばは残酷。文字通り”価値のない人”という意味です。日本ならさしずめマスコミ禁止用語の筆頭になりそうな言葉ですが、この言葉はナポレオンの時代から200年も過ぎた今でも現役。パリの地下鉄の優先席の案内に使われています。曰く、この席は以下の順序で優先的に使用しなければならない。1位:廃兵 2位:妊婦 3位:赤ちゃんを連れたお母さん4位:年寄りみたいなことが明記されています。日本の「善意の席」だの「ゆずりあいの席」だのといった情緒的、なまぬるい表現とはまるで別世界の言葉です。

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 高い生産性や効率性を発揮する時期をすぎてしまったら、ニワトリでも車でも人間でもすべてはアンバリッド(英語:invalid)として扱われます。母の介護にかなりの犠牲を払ってがんばっていますが、肝心の医者が本質的には母を廃人としか見ていないのがつらいです。年寄りばかり診ている医師は生命を霊的な存在として認めることができなくなるのでしょうか。

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